ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取引先付合いの心得

慶事出席時の注意点は
 弔事は急に訪れるが、慶事は前もってわかっている場合がほとんどである。前もってわかっているなら、前もってしっかり準備をしておかないと、相手に対して失礼だし、信頼を失ってしまったら、今後のビジネスには差し障りがでてきてしまう。

<< 慶事の招待を受けたら >>

招待状の返事はできるだけ早く
慶事の招待を受けた時は、参加・不参加の意思をなるべく早く伝えるのがマナーである。慶事の招待状には、出欠席の返信用のはがきが同封されているか、往復はがきでくるのが通常だから、それに所定の事項を記入して返送する。
もし、なかなか日程の都合がつかない場合でも、催しの1週間前くらいまでには返送しなければ失礼である。

敬称の書き忘れ、消し忘れに注意
はがきの表書きには、返送先がすでに印刷されているものがほとんどであるが、宛名には敬称が書かれていないか、「行」となっているはずであるから、宛先が個人なら「様」、団体なら「御中」と書き改めることを忘れないように。
一方、返信用はがきの裏書きは、「ご出席」「ご欠席」のどちらかに印を付ける欄と、こちらの住所氏名などを書く欄があるのがふつうである。この場合、「ご出席」の「ご」とか、「ご芳名」の「ご芳」などの尊敬語は、すべて縦二本線で消しておくようにする。


裏書きにはひと言書き添えて
また、ただ出席か欠席かを記すだけでなく、余白の部分に、たとえば下記のようなひと言を書き添えるのが礼儀である。
1.出席の場合の添え書き例
・おめでとうございます。当日は必ず参上しお祝いを申し上げます
・お招きをいただき誠に恐縮に存じております。当日は末席に参上し、お祝いを申し上げます
・お世話様です。ぜひ参加させていただきます
・お招きいただきまして、誠に喜んでおります。当日の集いを、楽しみにいたしております
2.欠席の場合の添え書き例
・心からお喜び申し上げます。せっかくのお招きですが、当日は、海外出張のために、本意ならずも欠席させていただきます
・おめでとう存じます。当日はぜひお祝いを申し上げたいのですが、やむを得ない出張の先約をいたしておりますので、失礼をお許しください
・おめでとうございます。ぜひともお祝いに参上したいのですが、日程調整困難で失礼いたします
・本意ならずも欠席させていただきます。ご出席の皆様によろしくお伝えください。ご盛会をお祈りしております

行けないときは祝電を
万一、どうしても当日の催しに参加できないときは、欠席の返事に上記のような添え書きをするのはもちろんだが、それだけではまだ十分とはいえない。
自分の代わりというわけではないが、当日の会場気付で祝電を届けるくらいはするようにしたい。あるいは、欠席の返事と別便で、お祝いの金品を贈るのもよいであろう。

<< 慶事に出席するときは >>

指定に従った服装で
正式な招待状には、服装指定がされているはずである。そのときは、きちんとそれにふさわしい服装で出席するのが礼儀である。
慶事が夜間に行なわれるのであれば、最も改まった夜会礼装の場合は「ホワイト・タイ」、それに準ずる夜会礼装なら「ブラック・タイ」と付記されている。
ホワイト・タイされるのは、公式晩餐会、公式レセプション、観劇などで、燕尾服が指定の服装である。
ブラック・タイと指定された催事には、タキシードかディナージャケットでの出席となる。

昼間の礼装は
催事が昼間に行なわれる場合には、服装も異なってくる。昼間の正式礼装はモーニング・コート、略式礼装はサック・コートで、それに準じるのが黒系統の背広(ダーク・スーツ)となる。このとき、茶系統のスーツは、どんなに色が濃くても普段着なので、略礼服にはならない。

略服や平服は普段着のことではない
招待状に、「略服でお越しください」「平服でお越しください」と書いてあったからといって、普段着で行ってはいけない。略服、平服というのは、招待側がへりくだっている表現なので、こちらとしては略礼服と解釈すべきである。

女性は男性の服装指定に準じて
女性の服装は、男性の服装指定に準ずるのが世界共通の作法である。
夜会のホワイト・タイの場合はロープ・デコルテ、ブラック・タイの場合はイブニング・ドレスやディナー・ドレスということになる。
また、男性のモーニング・コートに準じる女性の昼間の礼装は、ローブ・モンタント、アフタヌーン・ドレス、カクテル・ドレス、ワンピース、アンサンブル・スーツとなる。
さらに、男性のダーク・スーツに相当するのはアフタヌーン・ドレスで、ブラウスやセーターは禁物である。

和装の場合は
和装で出席するなら、ホワイト・タイやブラック・タイ、あるいは昼間のモーニング・コートに相当するのは、男性は五つ紋か三つ紋の黒紋付き羽織袴、女性は三つ紋か一つ紋の色留め袖である。女性の訪問着は、略礼服に相当すると考えればよいだろう。

式典開始のどれくらい前に行けばいいか
招待に応じて式典に出席するときは、遅くとも定刻の5~10分前には所定の場所に到着するようにしなければならない。
ただし、個人宅に招かれた場合は、招待側の準備もあるので、定刻よりも10~20分ほど遅れて行くほうがよいとされている。

著者
伊藤 治男(作法研究会代表)