ビジネスわかったランド (総務・庶務)

車両、什器備品管理事項

車をリースに切り替える有利不利は
 社用車を購入するのではなく、リースでまかなうという発想はかなり一般化している。その最大のメリットは、1度に多額の資金が出ていかないという金融効果にあるといえる。その有利不利のアウトラインは、次のとおり。

自動車のリースの仕組み
自動車リース契約の典型的な仕組みは、次のようになっている。自動車をユーザーが必要とする場合に、リース会社がユーザーの注文に応じてメーカーや販売会社から買い取り、ユーザーに賃貸する形をとる。そしてリース会社は、ユーザーからリース料を受領してリース期間内に購入代金等を回収するのである。
リース会社とユーザーとの関係だけをみると、賃貸と変わりはない。しかし、それが、メーカーや販売会社とリース会社との間の売買が一体として行なわれているところに、リースの特徴があるといえるだろう。
ただし、現在では、リースは金融の1つの手段と見なされている。

リースのメリット、デメリット
このリース契約には、ユーザーにとって、通常、次のようなメリットがあると考えられている。
1.購入するときのような頭金がいらない
2.リース料金を経費として計上できる
3.減価償却等の面倒な計算をしなくてよい
一方、デメリットとしては、リース料の総額は金利、保険料、手数料などが加わるため、トータルとして自己資金や借入金で賄うのに比較して割高になる点にあるとされている。

リース車の所有権はユーザーにはない
ユーザーが車両を購入してローン契約や割賦販売契約を結ぶ場合は、所有権留保が取られているケースを除けば、車両の所有者はその時点でユーザーとなる。しかし、リースの場合には、車両の所有権は、あくまでもリース会社のものなのである。

メンテナンスはユーザー負担
上述したように、リースは今日では金融の一種と見なされているので、リース車のメンテナンスはユーザー側でなされるのが原則である。ただし、自動車リースの場合、「メンテナンスリース」といって、リース会社側がメンテナンスを引き受けるという形態のものが多いようだ。
したがって、車両のメンテナンス料をどちらが負担するかは、リース契約の内容次第ということになる。

事故を起こした際の責任はユーザー側
リース車が交通事故を起こした場合、損害賠償責任が発生する運行供用者責任や使用者責任は、リース会社とユーザーのどちらにあるか。
形式(自動車の登録)上はリース会社が所有者と記載されているが、リース会社とユーザーとの間に特殊緊密な関係でも認められない限り、リース車の交通事故の責任をリース会社に課すことはできない、というのが判例である。したがって、ユーザー側に、運行供用者責任や使用者責任が認められることになる。

任意の保険はユーザー負担
通常リース車については、自賠責保険はリース会社側が加入することになっている。だが、任意保険に関しては、リース契約の形態によっては、リース会社で加入していない場合も少なくない。
リース車の交通事故にはユーザー側が損害賠償責任を負うわけだから、そのような場合は、ユーザーのほうで任意保険に加入するような配慮が必要となる。

著者
榎本 哲也(弁護士)