ビジネスわかったランド (総務・庶務)
車両、什器備品管理事項
固定資産や作業屑・下取品等の廃棄処理義務は
オフィスや工場から出るゴミの多くは、産業廃棄物として、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度」などに従って、次のように適正に処分することが求められる。
パソコン等も産業廃棄物
廃棄物とは、再び利用したり他に売却できない不要物を指し、固形状あるいは液状のもの(気体状のものは除く)をいう。
事業活動による廃棄物は、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分けられる。産業廃棄物に該当するのは、工場や事業所等における製造・加工・販売等に伴って生じた廃棄物のうち、次の図表に挙げた20種類とされている。ただし、業者に売却する場合や中古販売店に下取りに出す場合は産業廃棄物とはならない。
産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度
マニフェスト制度は、産業廃棄物の委託処理における排出事業者責任の明確化と、不法投棄の未然防止を目的に実施されている。
産業廃棄物は、排出事業者が自らの責任で適正に処理することになっている。したがって、その処理を他人に委託する場合は、産業廃棄物の名称、運搬業者名、処分業者社名、取扱上の注意事項などを記載したマニフェストを交付して、産業廃棄物といっしょに流通させることにより、産業廃棄物に関する正確な情報を伝えるとともに、委託した産業廃棄物が適正に処理されていることを把握する必要がある。
マニフェストの交付義務と罰則
産業廃棄物の処理責任は、排出事業者にあり、排出事業者が自ら処理するか、廃棄物処理業の許可を受けた処理業者に委託して処理する。したがって、管理票の交付義務は、排出事業者にある。排出事業者や処理業者は、マニフェストの不交付、虚偽記載、記載義務違反等により、万一、委託廃棄物が不適応に処理された場合、都道府県等から措置命令を受け、それに従わないときは5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科を受けることがある。
ただし、後述の電子マニフェストシステムを利用する場合や、市町村、都道府県、国に産業廃棄物の運搬や処分を委託する場合などは、管理票は交付されない。
運搬・処分業者の選定
排出事業者が産業廃棄物の運搬や処分業者を選定する場合は、次の点に注意を要する。
1.収集運搬業や処分業の許可を受けた処理業者に委託すること
2.運搬・処理業者と委託契約を締結し、所定の委託契約書を作成すること
3.許可証の提示を求め、許可内容を確認すること
そのうえで、信頼できる業者に委託することがトラブルの防止につながる。
管理票の流れ
管理票の具体的な流れを示したのが次の図表である。
廃棄物の移動に伴って、マニフェストが排出事業者から収集運搬業者、処分業者へ手渡され、最終的に処理が終了した後、排出事業者に返送される。
つまり、マニフェストの流れを追えば、廃棄物の種類や量、処理の流れがわかり、不法投棄の調査も容易になるというわけである。
確認・報告と管理票の保存
管理票は5年間の保存義務がある。また、排出事業者は、年に1回、6月30日までに、前年度のマニフェストの交付状況(交付枚数、交付の相手方など)を都道府県知事に報告する義務がある。
なお、処理を委託した業者から上記期限を過ぎても排出事業者は、マニフェストの交付後90日以内(特別管理産業廃棄物は60日以内)に委託した産業廃棄物の処理が終了したことをマニフェストで確認する必要がある。終了票が戻らない場合は、処理状況を確認したうえで適切な措置を講ずるとともに、その旨を都道府県知事等に報告する。
マニフェストの入手先
マニフェストの用紙は、各都道府県の産業廃棄物協会で入手できる。
直行用(一つの収集運搬業者経由の場合)と積替用(複数の収集運搬業者経由の場合)があり、価格はいずれも単票(手書用)が100枚1組で2,500円、連続票(パソコン用)が500枚1組で12,500円(いずれも消費税込み)。
販売単位が大きいので、年に数回しか産業廃棄物を出さない事業所では、収集運搬業者からマニフェストを入手するケースも多い。
なお、マニフェストについては、法の定める案件を満たしていれば、独自のものを使用することも可能である。
電子マニフェストシステムの利用
電子マニフェストシステムの仕組みは、図のように情報処理センター(電子マニフェストシステムの運営主体)のホストコンピューターと全国の排出事業所、収集運搬業者、処分業者のパソコンを電話回線で結び、廃棄物の流れを管理するというもの。
電子マニフェストシステムのメリットとしては、管理票の照合・確認作業や報告書提出の手間が省け、伝票保存も必要ないことなどが挙げられる。したがって、マニフェストに関わる事務負担を大幅に軽減することができる。
なお、排出事業者は、紙マニフェストか電子マニフェストを任意に選択できる。
必要設備・利用料
システム加入に当たってはパソコンやモデム、電話回線、専用ソフトなどが必要。費用は排出事業者の場合、システム加入時に5,000円、年間基本料に25,000円がかかるほか、利用ごとに使用料として全国一律、1件につき10円を負担する。
情報の登録・保存と報告
排出事業者は遅滞なくマニフェスト情報を登録し、収集運搬業者は運搬終了日から3日以内、処分業者は処分終了日から3日以内に情報処理センターに報告する。
そして、終了報告を受けたセンターは、排出事業者のパソコンにその旨を自動的に通知する。
マニフェスト情報は、情報処理センターで5年間保存され、都道府県知事等への報告もセンターが代行してくれる。
システム利用上の注意点
電子マニフェストシステムを利用するには、排出事業者、収集運搬業者、処分業者とも加入している必要があり、一部だけの電子化は認められない。その場合は新たに加入するか、紙マニフェストによらなければならない。
加入の単位は、排出事業者の場合、廃棄物を排出する事業場ごと。ただし、家屋解体工事や道路工事など短期間で事業が終了する場合は、管轄する営業所などの単位で加入できる。
著者
鵜川 次郎(ビジネスコンサルタント)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。
パソコン等も産業廃棄物
廃棄物とは、再び利用したり他に売却できない不要物を指し、固形状あるいは液状のもの(気体状のものは除く)をいう。
事業活動による廃棄物は、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分けられる。産業廃棄物に該当するのは、工場や事業所等における製造・加工・販売等に伴って生じた廃棄物のうち、次の図表に挙げた20種類とされている。ただし、業者に売却する場合や中古販売店に下取りに出す場合は産業廃棄物とはならない。
産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度
マニフェスト制度は、産業廃棄物の委託処理における排出事業者責任の明確化と、不法投棄の未然防止を目的に実施されている。
産業廃棄物は、排出事業者が自らの責任で適正に処理することになっている。したがって、その処理を他人に委託する場合は、産業廃棄物の名称、運搬業者名、処分業者社名、取扱上の注意事項などを記載したマニフェストを交付して、産業廃棄物といっしょに流通させることにより、産業廃棄物に関する正確な情報を伝えるとともに、委託した産業廃棄物が適正に処理されていることを把握する必要がある。
マニフェストの交付義務と罰則
産業廃棄物の処理責任は、排出事業者にあり、排出事業者が自ら処理するか、廃棄物処理業の許可を受けた処理業者に委託して処理する。したがって、管理票の交付義務は、排出事業者にある。排出事業者や処理業者は、マニフェストの不交付、虚偽記載、記載義務違反等により、万一、委託廃棄物が不適応に処理された場合、都道府県等から措置命令を受け、それに従わないときは5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科を受けることがある。
ただし、後述の電子マニフェストシステムを利用する場合や、市町村、都道府県、国に産業廃棄物の運搬や処分を委託する場合などは、管理票は交付されない。
運搬・処分業者の選定
排出事業者が産業廃棄物の運搬や処分業者を選定する場合は、次の点に注意を要する。
1.収集運搬業や処分業の許可を受けた処理業者に委託すること
2.運搬・処理業者と委託契約を締結し、所定の委託契約書を作成すること
3.許可証の提示を求め、許可内容を確認すること
そのうえで、信頼できる業者に委託することがトラブルの防止につながる。
管理票の流れ
管理票の具体的な流れを示したのが次の図表である。
廃棄物の移動に伴って、マニフェストが排出事業者から収集運搬業者、処分業者へ手渡され、最終的に処理が終了した後、排出事業者に返送される。
つまり、マニフェストの流れを追えば、廃棄物の種類や量、処理の流れがわかり、不法投棄の調査も容易になるというわけである。
確認・報告と管理票の保存
管理票は5年間の保存義務がある。また、排出事業者は、年に1回、6月30日までに、前年度のマニフェストの交付状況(交付枚数、交付の相手方など)を都道府県知事に報告する義務がある。
なお、処理を委託した業者から上記期限を過ぎても排出事業者は、マニフェストの交付後90日以内(特別管理産業廃棄物は60日以内)に委託した産業廃棄物の処理が終了したことをマニフェストで確認する必要がある。終了票が戻らない場合は、処理状況を確認したうえで適切な措置を講ずるとともに、その旨を都道府県知事等に報告する。
マニフェストの入手先
マニフェストの用紙は、各都道府県の産業廃棄物協会で入手できる。
直行用(一つの収集運搬業者経由の場合)と積替用(複数の収集運搬業者経由の場合)があり、価格はいずれも単票(手書用)が100枚1組で2,500円、連続票(パソコン用)が500枚1組で12,500円(いずれも消費税込み)。
販売単位が大きいので、年に数回しか産業廃棄物を出さない事業所では、収集運搬業者からマニフェストを入手するケースも多い。
なお、マニフェストについては、法の定める案件を満たしていれば、独自のものを使用することも可能である。
電子マニフェストシステムの利用
電子マニフェストシステムの仕組みは、図のように情報処理センター(電子マニフェストシステムの運営主体)のホストコンピューターと全国の排出事業所、収集運搬業者、処分業者のパソコンを電話回線で結び、廃棄物の流れを管理するというもの。
電子マニフェストシステムのメリットとしては、管理票の照合・確認作業や報告書提出の手間が省け、伝票保存も必要ないことなどが挙げられる。したがって、マニフェストに関わる事務負担を大幅に軽減することができる。
なお、排出事業者は、紙マニフェストか電子マニフェストを任意に選択できる。
必要設備・利用料
システム加入に当たってはパソコンやモデム、電話回線、専用ソフトなどが必要。費用は排出事業者の場合、システム加入時に5,000円、年間基本料に25,000円がかかるほか、利用ごとに使用料として全国一律、1件につき10円を負担する。
情報の登録・保存と報告
排出事業者は遅滞なくマニフェスト情報を登録し、収集運搬業者は運搬終了日から3日以内、処分業者は処分終了日から3日以内に情報処理センターに報告する。
そして、終了報告を受けたセンターは、排出事業者のパソコンにその旨を自動的に通知する。
マニフェスト情報は、情報処理センターで5年間保存され、都道府県知事等への報告もセンターが代行してくれる。
システム利用上の注意点
電子マニフェストシステムを利用するには、排出事業者、収集運搬業者、処分業者とも加入している必要があり、一部だけの電子化は認められない。その場合は新たに加入するか、紙マニフェストによらなければならない。
加入の単位は、排出事業者の場合、廃棄物を排出する事業場ごと。ただし、家屋解体工事や道路工事など短期間で事業が終了する場合は、管轄する営業所などの単位で加入できる。
著者
鵜川 次郎(ビジネスコンサルタント)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。
キーワード検索
タイトル検索および全文検索(タイトル+本文から検索)ができます。
検索対象範囲を選択して、キーワードを入力してください。