ビジネスわかったランド (総務・庶務)

車両、什器備品管理事項

什器備品の購入管理法は
 事務用品をはじめ、消耗品や什器備品など、事務に関連する物品全般をさして用度品という。用度品は、個々の金額は高くなくても、数が多いだけに経費に占めるウエートが決して小さくない。そのため、日々の細かい節約や改善の積み重ねが求められ、ひいては業務の効率化につなげ、会社の利益に貢献することが肝要となる。

<< 用度品を常備と非常備に分けて考える >>

用度品を大きく分けると、常に在庫をもつ必要のあるものと、需要のつど購入すればよいものとがあり、それぞれを区別して管理する必要がある。前者は「常備品」であり、事務用品、消耗品、帳票類など。後者は「非常備品」で、事務機器、OA機器、通信機器、および什器備品などである。


常備品を購入する際の注意点は
常に在庫を確保しておくべき常備品を購入する際のポイントは、次のとおり。
1.適量在庫を保有する
在庫することによる保管費用・金利等と、調達費用・少量注文による単価増等を比較して、どちらが有利かを判断することが大切。在庫の経費が年間購入計画の2分の1を超えないように配慮する。
2.適質な物品を供給する
物品によっては多くの種類があるので、あらかじめその用途を十分に調査する。そのうえで、用途に応じて過不足なく使用・消費できるよう、適質なものを選んで揃えておく。
3.最少の費用で購入する
常備品は、安価なものが多く、コスト意識も薄れがちで、ともすると安易な購入に走ってしまう。その結果、驚くほど経費が膨れ上がるということが少なくない。
したがって、物品購入の際には少なくとも2業者以上の見積もり合わせを行なうとともに、最初は安価でもそれが尾を引いて相殺(水増しなど)されることもあるので、コスト管理を怠らない注意が必要だ。

非常備品を購入する際の注意点は
一方、需要のつど購入するような非常備品の場合は、次のような点に気をつける。
1.現場の事情に精通する
非常備品を必要とする可能性のある現場(社内の各部署)の事情を知らなければ、購入請求書や稟議書が提出されたときに、正しい判断ができない。とくに、非常備品は、高額な物品もあるので、あらゆる角度からその購入・設置の必要性を的確に判断する必要がある。
2.適質な物品を供給する
単に安ければいいというわけではなく、購入目的に合致して合理化や効率化に役立つのか、他により良質なものはないか(代替品で充当できないか)などを、常に情報収集・研究しておくことが大切。
3.最少の費用で購入する
非常備品にはかなり高額なものもあり、それをできるだけ安く購入することが、担当者の腕の見せどころ。
通常は、数社の見積もり合わせで安い条件提示をした業者からの購入となるが、コスト管理という点からすれば、価額だけでなく、機能・アフターサービス・付帯費用・保管費用等を加味した総合的な判断が必要である。
また、要求された物品と少し規格の異なる安価な代替品でも、用途に支障がなければそれを選ばせるという説得力も必要になってくる。

<< 常備品の管理のポイント >>

常備品の全般的な管理方法は、次のようになる。
1.保管場所を特定する=一定の広さと採光性を考慮して、保管場所を特定しておくことが大切。
2.整理整頓に心がける=まずは種類別に並べること。そして、使用頻度の高いものを前面に出すなど工夫が必要。
3.数量管理を徹底=目で見る管理はもちろん、受払台帳への記入による管理も行なう。
4.年2回は実地棚卸=期中と期末の少なくとも年2回、実地棚卸をして、計画との差異をチェックする。

事務用品管理で特別気をつけることは
常備品の中でも一品ものである事務用品を管理する場合には、とくに以下の点に注意したい。
・払出し請求の頻度や日常の使用状況をチェックする。一品ものなので、使用時のていねいな取扱いを徹底させることにより、いっそうの長期継続使用が可能となる。
・種類の多いファイル類もていねいに扱い、タックラベルを添付して表題を書き替えるなどすれば継続使用が可能となる。
・定規やカッター、はさみといった個人の引出しにある物品でも、転勤や配置替えのときに返却させ、次の者に支給するようにする。
・事務用品でも共同使用する機器類に準じた取扱いが可能なものについては、各テーブルごとの使用・消費、払出し請求を奨励して無駄を排除する。

消耗品管理で特別気をつけることは
クリップや鉛筆・消しゴム、コピー用紙などの消耗品、それにノートなどの帳票類を管理する際に、とくに気をつけたいのは以下の点。
・小物だけに、無駄が発生しないよう、よりいっそう消費状況のチェックを怠らない。
・過剰・不良在庫や保管スペースの無駄を排除するため、日常的に整理整頓を行なう。
・定期的または抜き打ち的に、社員の机の中を検査して、必要以上に所持していれば返却させる。節減の工夫を社員に提案させるのもよい。

<< 非常備品の管理のポイント >>

事務機器や什器備品などの非常備品を管理する際の基本ポイントは、次のとおり。
1.非常備品は、すべてが担当者の管理下にあるわけではないので、たとえば什器備品取扱規程といったものを作成し、全社がそれに従うよう、各部署ごとの管理意識を徹底させる。
2.機器類が破損した場合、必ず当該部署から破損届を提出させその原因と責任の所在を明らかにしておくことが大切。そして、修理より新規購入のほうが割安な場合は廃棄処分とし、改めて購入請求書を提出させる。

重要な台帳による管理
非常備品の管理で最も重要なのは、台帳の整備による管理の徹底である。とくに、税務上、少額減価償却資産に該当するものは取得価額の全額が損金算入できる扱いとなっているが、その少額減価償却資産の尺度が時々の景気の波等によって変化するため、たえず気を配り、少額減却資産として扱うものとそれ以外のものを分別して管理することが肝要である。
最近の少額減価償却資産の税務上の扱いを辿ってみると次のようになる。
(1) 1998年3月まで……取得価額20万円未満の少額減価償却資産は、全額損金算入可。
(2) 1998年4月~2003年3月
・取得価額20万円未満=通常の償却か事業年度ごとに一括減価償却資産として3年の均等償却をするか選択適用。
・取得価額10万円未満=全額損金導入可。
(3) 2003年4月~2008年3月……(2)の扱いのほか、中小企業者(資本金1億円以下で一定の案件を満たした法人)については、取得価額10万円以上30万円未満の少額減価償却資産は全額損金算入可。ただし、2006年度の税率改正により、事業共用時に一時に損金算入できるのは、一事業年度の取得価額の合計額が300万円までと上限が設けられた。なお、この一時償却の適用を受けるためには、確定申告書に所定の明細書を添付することが要件となる。

したがって、その管理に当たっては、大別して次のような台帳を用い、少額の資産に至るまで、購入時に整理番号をつけて正確に記入し、完全な管理システムを構築するようにしたい。
1.通常の減価償却資産として扱った備品は耐用年数、償却率等も記載した固定資産(減価償却)台帳へ記載(ただし、上記(2)で一括減価償却資産として扱った備品は一括償却資産台帳へ記載するか選択)
2.少額減価償却資産として損金算入扱いした備品は少額減価償却資産台帳へ記載

著者
今井 健雄(経営コンサルタント)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。