ビジネスわかったランド (総務・庶務)

文書・通信事項

携帯電話の管理の仕方は
 業務用の携帯電話の利用は、便利なだけに、野放しにしておくと、通信費の増大を招くばかりか、利用する場所によっては周りの顰蹙(ひんしゅく)を買って会社のイメージを損いかねない。
そうした事態を防止するには、きちんとルール(管理規程)を作成し、それに基づいた的確な管理を行なうことが必要である。

貸与基準、申請方法等を定める
業務用の携帯電話は、全社的に管理することが肝要であり、一元管理する部門(一般的には総務部門)を定めることが先決となる。そして、その管理部門が中心となって、貸与基準、申請方法、審査方法をはじめとして、マナーや使用範囲なども盛り込んだ規程を作成することが必要となる。
管理は、その規程に則って、きちんと行なうことが基本となる。

私用電話防止策
業務用の携帯電話について、会社が最も頭を悩ませているのは、私用電話に使う通信費の増大であろう。これについては、社内の電話についてもいえることであるが、少し異なるのは、携帯電話は自由な場所、時間に利用でき、私用電話の監視の目が行き届きにくい点にある。
したがって、携帯電話の私用防止法としては、次のようなことを基本にして取り組むべきである。
1.私用電話をしないように訴える
2.私用電話は自己申告とし、その通話料は個人負担とする
3.通話明細書を取り寄せてチェックする(通話明細書を各位に渡し、私用電話分を自己申告させる。ランダムにチェックし、私用電話であることがわかれば注意する)
4.利用料金に制限を設ける(基本料金プラス一定の通話時間内での利用を進め、超過した場合は明細書をチェックするなどの手を打つ)
5.就業後や休日の持帰りを禁じる

貸与分の破損等は弁償も
携帯電話は、社員が持ち歩くものだけに、破損したり、紛失したりする可能性も高い。
したがって、貸与した携帯電話を破損したり、紛失したりした場合は、社員自身が責任をもつことになり、故意や過失であれば、社員に弁償させることもできる。
通常は、会社が貸与するパソコンや事務機器と同様の扱いになるだろうが、いずれにしてもどのような扱いにするかを規程等できちんと定めておくことが肝要である。

社員所有の携帯電話を業務で利用する場合は費用負担
一方、社員所有の携帯電話を会社が業務上で利用することを認めた場合は、業務上利用分の費用を会社が負担する必要があろう。
負担の方法としては、次のパターンが考えられる。
1.業務利用分を毎月定額支給=たとえば、月額3,000円を定額支給し、社員にその範囲内で業務利用をコントロールさせる。
2.実費精算=たとえば、基本料金の50%と通話利用明細書に基づいて社員に申告させた業務利用分を支給する。

利用マナーの徹底
携帯電話の利用については、電車内では用いないなど、次のようなルールを設け、それを徹底させるようにしたい。
1.車での利用……事故の危険があり、会社が法律上の使用者責任等を問われる可能性が高い。それを未然に防ぐために、次のようなルールを設ける。
・運転中は電源を切る。あるいは、留守番電話やドライブモードに切り替える
・通話は必ず安全な場所に停止して行なう
2.外出先での利用……仕事上の通話を不用意に人前ですることのないようにするほか、携帯電話の使用を禁じられている場所での通話をしないなど、次のようなルールを設ける。
・機密保持の必要な内容の通話は人前でしない
・利用禁止場所では電源を切る
・訪問先企業では電源を切るか、呼び出し音が鳴らないようにする
3.会社内での利用……社内では受信専用とし、発信用には携帯電話を用いない

著者
橋口 寿人(経営評論家)
2007年12月末現在の法令等に基づいています。