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文書・通信事項

内容証明郵便の有効性と差出し方は
 内容証明郵便というのは、簡単にいえば「いつ、誰が、どんな内容の手紙(書面)を発送したか」ということを、郵便局(日本郵政公社)が証明する郵便のこと。内容証明郵便は、確定日付としての効力を持ち、時効中断等に威力を発揮するほか次のような効果をもっている。

配達証明にプラスして証拠能力アップを
支払いの督促とか相殺の意思表示などは、将来トラブルが発生したときに証拠となるように、正式には文書によって行なわれる。ところが、文書を発送しても、相手が「受け取っていない」と言い張れば、その文書そのものの存在が否定されてしまう。
そこで、そのような文書を送付する際には、安全な「書留郵便」や、受取人が受け取ったことを証明する「配達証明」を利用することになる。ただ、これらはいずれも郵便物を送付した証拠にはなるが、そこに書かれた内容までは証明しない。
こうしたことから、安全な書留と配達証明に加え、この内容証明を利用して郵送すれば、文書の証拠能力が高くなるというわけである。
内容証明は、次のような形で、文書上に記載され、証明される。

そして、ここに記載された内容証明郵便の証明日付は、確定日付としての効力をもつことになる。

内容証明が必要とされるケースは
1.確定日付のある証書による通知が必要な場合
指名債権(特定人を債権者とする債権で、ふつうの債権はこれに当たる)譲渡の通知は、確定日付のある証書で行なわなければ第三者に対抗できないので、配達証明付の内容証明郵便となる。
2.重要な意思表示を内容とする通知が必要な場合
契約を解除する通知、解除権の行使を前提とした履行催告の通知、解除権を行使するかしないかの確答を求める通知、売買予約完結の通知、賃貸借契約更新拒絶の通知、賃料増額請求の通知、相殺の通知、弁済充当の通知、債権放棄の通知、消滅時効中断のための催告、抵当権実行の通知、クーリングオフの通知など。
3.通知の存在や内容が将来問題になりそうな場合
保証人に対する保証確認の通知、契約無効確認の通知など。
4.心理的な圧力など副次的な効果を利用する場合
貸金請求や売掛金請求などの債権支払請求の通知、損害賠償請求の通知、迷惑駐車をやめるよう求める通知など。
5.心理的圧力を加えつつ相手の出方をうかがう場合
類似商号不使用の請求、各種工業所有権や著作権の侵害に対する警告、取締役に対する訴訟の提起の請求、工事差止請求の通知など。

内容証明郵便の作成の仕方
1.1枚に記載できる文字数は、1行20字、26行、つまり520字以内。ただし、横書きの場合は、1行13字の40行以内にしてもよい。
2.文字や記号の訂正・加除を行なった場合は、訂正個所の上部欄外に、訂正した字数とその個所を記入し(例=「5行目4文字訂正」「3行目2字削除」など)、押印する。
3.2枚以上にわたる場合は、とじ目に契印として差出人の印を押す。
4.合計3通作成し、郵便局に提出する(コピーやカーボン紙を使っての複写でもよい)。
5.郵便局では、証明番号および日付印を記したうえで、そのうちの1通を謄本として保管する。他の1通は差出人に返却し、郵便料金の領収書を兼ねた受領証を発行する。残りの1通を、郵便局員立会いのもとに封筒に入れ、受取人に郵送する。
なお、用紙については、特段の定めはないが、「内容証明郵便用紙」が市販されているので、これを利用するとよい。

同じ内容を複数の人に送りたいときは
同じ内容の文書を、複数の受取人に内容証明で送ることを、同文内容証明という。
この場合も、文書の作成方法、送付方法、閲覧方式などは、内容証明と変わらない。ただし、料金は2人目からは半額になる。

電子内容証明サービス(「e内容証明」)
現行の内容証明郵便を電子化し、インターネットを通じて24時間受け付けを行なうのが電子内容証明サービスである。差出人から送信された電子内容証明文書を郵便局の電子内容証明システムで受け付け、その後、電子内容証明の証明文、日付印を文書内に挿入し、差出人宛て謄本、受取人宛て原本を自動印刷する。これを自動封入封緘し、郵便物として発送するサービスである。(詳細については http://enaiyo.post.japanpost.jp/mpt/ を参照のこと)

著者
橋口 寿人(経営評論家)
2010年1月末現在の法令等に基づいています。