ビジネスわかったランド (総務・庶務)

文書・通信事項

文書類の上手な保管法は
 会社の文書は、ただ単に保管しておくだけでは意味がない。会社の文書を保管する目的は、個人の業務に関する経験を組織の経験として総合化し、企業としてのノウハウを蓄積することだからである。
そのためには、文書がきちんと分類・整理されていて、誰もが容易にそれらを取り出して利用できるように保管されていなければならない。

<< 文書の分類・整理・保管の進め方 >>

文書の分類・整理・保管の原則
文書を分類し、整理し、保管していく際の基本となるのは、次のような原則である。
1.総合の原則
プロジェクト等の進行に伴い散逸していた文書を一か所に集める。
2.相互排除の原則
重複している文書がある場合は、1つだけを残して、余分なものを廃棄する。その際、書込み等があれば転記しておく。
3.一貫性の原則
目的によって何を基準として分類・整理するかをしっかり決める。
4.階層化の原則
大分類→中分類→小分類というように、まずは大まとめにし、だんだんと細かく分けていく。
5.相互関連の原則
分類・整理する際に、関連の深いものが近くにあるようにファイルする。また、保管に当たっても、関連づけて並べる。
6.保管・廃棄サイクル明示の原則
廃棄期限を定め、明示してから保管する。

資料保管の2つの基本
文書を保管する場合に、その大前提には、大きく分けて次の2つの方法がある。
1.形態別分類
文書、写真、図面、冊子、サンプルなどのように、形態が異なるものについて、保管スペースの関係から形態別に分けて保管する。
2.テーマ別保管
形態が異なっていても、テーマ別に一括して保管する。
ただし、実際には、この2つを併用しながら、次のような具体的な方法で保管していくことになる。

主な分類・整理方式は
1.テーマ別(主題別)整理方式
「何が書かれているか」「どのプロジェクトか」といったことがすぐにわかるように、内容によってテーマをつけて分類・整理する。
2.表題別整理方式
「注文書」「見積書」「報告書」「通達」「指示書」など、文書の表題別に分類・整理する方法。
3.相手先別整理方式
往復文書などの「誰からきたか」あるいは、「顧客ファイル」「社員ファイル」などのように「誰に関するものか」といった相手先別に分類・整理する方法。これをさらに、五十音順や、組織別、地域別にまとめて保管する。
4.業務目的別整理方式
「財務関係」「人事関係」「販売関係」あるいは、「本社行事関係」「安全管理関係」といったように、業務の目的別に分類・整理する方法。

<< 上手な分類・整理・保管のコツ >>

捨てる勇気をもつ
文書を一括して集め、いざこれを整理するとなると、膨大な量にとまどってしまうのが現実である。この際にまず行なうことは、必要な書類と不要な書類を分けることだが、「迷ったら捨てる」を基本に、できる限り分類・整理する文書を減らすのがポイントである。

ファイリングシステムを活用する
ファイリングシステムとは、必要な文書を必要に応じて即座に利用できるように、会社の財産として体系的に整理保管し、最終的な廃棄に至るまで管理する一連の制度である。
ファイリングシステムを活用するポイントは、次の3つ。
1.必要以上の書類は作らない
2.不要になった書類は捨てる
3.文書はすべて公用という意識をもつ

まめに整理する
とにかく、ため込まないことが第一である。処理が終わったら、その場ですぐに、所定のところに保管するクセをつけるようにしたい。

文書の性格に合った分類・整理を
文書とひと言でいっても、その性格は様々だ。それぞれの文書の性格を的確に判断し、それに合った分類・整理を行なうことが重要になる。文書を性格別に分けると、基本的には次の5つになる。
1.プロジェクト型文書=非定型業務やプロジェクト業務で発生する文書
2.懸案・進行型文書=文書が次々と発生し、未完型の状態が続く文書
3.循環型文書=定期的に発生する同一形式の文書
4.常備型文書=オフィス内に常備し、変更があれば差し替えるような文書
5.蓄積型文書=何らかの目的によって、長期にわたり増え続ける文書

文書のPDF化
文書をスキャナーで読み取り、PDF(Portable Document Format)化し、元文書を廃棄すると文書保管スペースを大幅に節約できる。また、文書名での検索も容易で効率化が図れる。
(注) PDF化には、専用ソフトが必要。表示、印刷は無料配布されているソフトで可能。

<< 電子ファイルの保存と管理のポイント >>

電子ファイルを保存する際の注意点は
紙媒体とはまったく異なる性質をもつ電子ファイルは、その保存に当たっても、特別な注意が必要になってくる。
1.文書保存は「上書き」が基本
文書を後になって修正した場合は、同一目的で使用する文書ならば、「上書き」して、修正前の文書を残さない。よく、「修正後」とか「○○文書2」というように、修正の経過がわかるように保存するケースを見かけるが、修正前の文書の保存は不要である。
また、ファイルサーバーにコピーした後で、自分のパソコンに残っているファイルを修正して、プリントアウトし、それを先方に送ることがある。その場合は、必ずファイルサーバーのファイルも最新のものを上書きしておく。
2.ファイル名に一貫性を
ファイル名の付け方について、あらかじめ取り決めをして、一貫性をもったファイル名にしておく。
3.保存期間を決めておく
あらかじめ、ハードディスクに保存する期間をファイルごとに決めておき、期間が過ぎたものについては、光磁気ディスクやCD―ROM、DVDなど、別の記憶媒体に移すようにする。
4.個人情報と重要文書は要注意
社員および顧客の個人情報や重要文書については、それを閲覧できる人にのみアクセス権を与えるなど、情報の漏洩にも十分気を配る必要がある。

電子ファイルの管理の要点
1.ハードクラッシュに備える
大切なデータが納められているハードディスクが突然壊れてしまうハードクラッシュが、いつ起こるか予想できない。したがって、こうした突発的な事故による被害を最小限に食い止めるため、ハードディスクをもう1つ用意し、夜中などの決まった時間に、データが自動的にそのハードディスクに複製されるようにしておくとよいであろう。
2.外部からのアクセスには要注意
外部からのコンピュータウイルスが侵入しないよう、細心の注意が必要だ。
また、外部からの不正なアクセスがないように、各人にID番号を付与し、アクセスに必要な暗証番号を設定させるなど、システムとしての防御策を講じるべきである。
3.しっかりした体制をつくる
なお、万が一何らかの障害が起こった際には、早急に復旧できるよう、システム管理者を置くなどの体制づくりも欠かせない。

著者
橋口 寿人(経営評論家)
2007年12月末現在の法令等に基づいています。