ビジネスわかったランド (総務・庶務)
文書・通信事項
ネット通販を構築するときの準備と留意点は
ネット通販の構築については、ハード、ソフト、システム、運営面から次のようなものが必要となる。
<< ネット通販構築に何が必要か >>
まず、ネット通販にはどんなものが必要になるのか、次の表を見ながら解説していこう。
ハード
(1) パソコン
まず、一番に挙がるのがパソコンである。ホームページを作成したり、データをまとめたりといった作業をする。いまお使いのパソコンがあればそれで結構である。
(2) サーバー
通販のためのホームページを保存する。外部からは、このサーバーに保存されたホームページにアクセスすることになる。
サーバーは、ディスクスペースだけ借りるか、買い物かご付きを借りるか、ショッピングモールに出店するか、ネットショップASPを利用するか、の選択肢がある。
それぞれ、「売り方」も異なるので、資料を取り寄せて、自分に合ったものを選べばよいだろう。
(3) 通信環境
また、通信環境として、ADSLや光など常時インターネットに接続できる環境が必須である。
ソフト・システム
(1) ホームページ
作成するためのソフトはもちろん、商品の注文・決済等をホームページ上で行なうための“買物カゴ”など、ネット通販に必要な機能をもたせるソフトもあるに越したことはない。
費用は、自社でつくる場合と、外注する場合で異なってくる。
・自分(自社)でつくる場合
ホームページの製作には、ウィンドウズの「メモ帳」などのテキストエディタ、ネット通販の機能を付けるには、ネット上で無料で公開されている各種のソフト(CGI)を使うことができるので、ほとんど費用はかからない。しかし、一から勉強してつくるとなると、相当な時間がかかり、人件費も膨大になる。
もう少し楽につくるなら、市販の通販用ソフトを利用する手もある。簡単な顧客管理機能も付いて2万円くらいからある。
また、機能については、クレジットカード決済・買物カゴなどの機能が付いたソフトをレンタルする手もある。この場合、月額3,000円程度から利用できる。さらに、買物カゴ付きのホスティングサービスを利用するなら、初期費用、月額費用ともに3,000円くらいからである。
・外注する場合
外部の専門家につくってもらう場合は、最低でも30万円はみておいたほうが無難である。デザインに凝ったり専用の“買い物カゴ”をイチから開発する場合は、300万円以上になることもある。
<< 安価な出店コストに潜む落とし穴 >>
現実の店舗を開く場合、店舗を探し、保証金を払い、不動産会社に手数料を払い、改装し、什器を揃え…などといった具合いに、数千万円の初期費用がかかる。さらに、月々の家賃も何十万・何百万円になる。それを考えれば、ネット通販の初期費用は、微々たるものである。
でも、これこそが落とし穴。
ここで覚えておいてもらいたいことがある。それは、ネット通販であっても、「運営コストは実際の店舗と同じ」ということである。
非常に不思議なことであるが、出店コストが安いとその運営コストも激安と思う人が多いようである。でも、運営コストは、間違いなく実際の店舗と同じだけかかる。
実際の店舗でも、運営コストをかけなければお店は廃れる。ほとんどの赤字ネット通販店も同じような間違いをしている。安価な出店コストに惑わされず、かけるべきところにはお金をかける。それができないのであれば、見合わせたほうが無難であろう。
人件費も実店舗同様
通販用のホームページをつくることはお店の内外装工事や配置換えに、ホームページに商品を載せるのは陳列に、そして、ホームページを使いやすくしたり問合せメールに回答することは接客に当たる。つまり、ネット通販でも、実店舗における販売活動とほぼ同様に人件費がかかってくる。
なお、販売活動まで含めてアウトソーシングするのであれば、自社で雇用する一般事務社員の給与プラスαが目安となるであろう。
広告宣伝費もかけるべき
実際のお店を開店するときであれば、近所にチラシを撒くなどの宣伝を行なうであろう。ネット通販でも、そういった広告宣伝のためのコストを、いくらかはかける必要がある。実際は、なかなかそこまでしないところも多いようであるが、それではどんなによいお店を開いても、誰もその存在に気付いてくれない。どんな名店も、来店者がいなければ売上はゼロ。赤字に決まっている。
メールマガジン広告を出す、検索サイトにキーワード連動型の広告を出す、アフィリエイトを利用する、実店舗があればそこでアドレス入りのチラシを配るなど、予算に応じて積極的に宣伝活動をすべきである。
<< 成功のための留意点 >>
現在、小規模なネットショップのテクニック的な部分に関しては、書籍やセミナーで十分学ぶことができる。しかし、そういったことを上辺だけなぞったとしても、なかなかうまくいかないようだ。
カギは次のようなところに潜んでいる。
情報を発信しているか
ネット通販を検討中という担当者の相談を受けて一番驚くのが、何年か前にホームページを作って、そのままということである。インターネットを使ってお客様に情報を発信することに慣れていない会社が、ネット通販をやってうまくいくわけがない。
インターネットの世界では、訪問者数は情報発信の質と量に比例する。たとえ会社案内程度のホームページでも、実際にあれば、お客様の反応もわかり、「どうしたらホームページにお客様が呼べるか」というアイデアが色々と浮かんでくるものである。
まずはこまめに情報発信し、それに慣れる、ということをお勧めする。
コンセプトは固まっているか
たとえば、銀座など人通りが多い街のどこかのビルの片隅に、店舗を開くことを考えてほしい。ただお店を開いただけでは、もちろん、来店客・売上もゼロのはずである。
そのとき、次のような商売の工夫がなければ、つまり、ただお店を開いただけでは、「銀座にお店を出した」という自己満足だけである。
・どんな人に、お客様になってもらいたいですか?
・どうやってお客様に来店してもらいますか?
・どうやってお客様に買ってもらいますか?
・どうやってお客様に再来店してもらいますか?
インターネット通販においても、それと同様のことがいえる。ただ始めるのではなく、お客様に来てもらえる工夫を考える必要があるのである。
社内体制はお客様中心か
たとえば、商品ごとに営業担当者が異なっている場合、問合せをしたときにお客様が煩わしい思いをすることがある。また、営業部門と製造部門の意思の疎通ができていないため、納期遅れなどでいつもお客様に迷惑をかけるという話も聞く。
何もネット通販に限ったことではないのであるが、社内情報の流れのどこかに滞りがあれば、その分お客様への対応が遅れ、会社そのものへの信頼を失いかねない。
ネット通販でお客様に接する窓口は、ホームページとメールだけ。とくにメールでの対応はスピードも要求される。社内調整に手間取っていては間に合わない。
まずはお客様を中心に社内体制を整えることが必須である。
著者
山田 雅彦(ウェブプロデューサー)
2010年1月末現在の法令等に基づいています。
<< ネット通販構築に何が必要か >>
まず、ネット通販にはどんなものが必要になるのか、次の表を見ながら解説していこう。
ハード
(1) パソコン
まず、一番に挙がるのがパソコンである。ホームページを作成したり、データをまとめたりといった作業をする。いまお使いのパソコンがあればそれで結構である。
(2) サーバー
通販のためのホームページを保存する。外部からは、このサーバーに保存されたホームページにアクセスすることになる。
サーバーは、ディスクスペースだけ借りるか、買い物かご付きを借りるか、ショッピングモールに出店するか、ネットショップASPを利用するか、の選択肢がある。
それぞれ、「売り方」も異なるので、資料を取り寄せて、自分に合ったものを選べばよいだろう。
(3) 通信環境
また、通信環境として、ADSLや光など常時インターネットに接続できる環境が必須である。
ソフト・システム
(1) ホームページ
作成するためのソフトはもちろん、商品の注文・決済等をホームページ上で行なうための“買物カゴ”など、ネット通販に必要な機能をもたせるソフトもあるに越したことはない。
費用は、自社でつくる場合と、外注する場合で異なってくる。
・自分(自社)でつくる場合
ホームページの製作には、ウィンドウズの「メモ帳」などのテキストエディタ、ネット通販の機能を付けるには、ネット上で無料で公開されている各種のソフト(CGI)を使うことができるので、ほとんど費用はかからない。しかし、一から勉強してつくるとなると、相当な時間がかかり、人件費も膨大になる。
もう少し楽につくるなら、市販の通販用ソフトを利用する手もある。簡単な顧客管理機能も付いて2万円くらいからある。
また、機能については、クレジットカード決済・買物カゴなどの機能が付いたソフトをレンタルする手もある。この場合、月額3,000円程度から利用できる。さらに、買物カゴ付きのホスティングサービスを利用するなら、初期費用、月額費用ともに3,000円くらいからである。
・外注する場合
外部の専門家につくってもらう場合は、最低でも30万円はみておいたほうが無難である。デザインに凝ったり専用の“買い物カゴ”をイチから開発する場合は、300万円以上になることもある。
<< 安価な出店コストに潜む落とし穴 >>
現実の店舗を開く場合、店舗を探し、保証金を払い、不動産会社に手数料を払い、改装し、什器を揃え…などといった具合いに、数千万円の初期費用がかかる。さらに、月々の家賃も何十万・何百万円になる。それを考えれば、ネット通販の初期費用は、微々たるものである。
でも、これこそが落とし穴。
ここで覚えておいてもらいたいことがある。それは、ネット通販であっても、「運営コストは実際の店舗と同じ」ということである。
非常に不思議なことであるが、出店コストが安いとその運営コストも激安と思う人が多いようである。でも、運営コストは、間違いなく実際の店舗と同じだけかかる。
実際の店舗でも、運営コストをかけなければお店は廃れる。ほとんどの赤字ネット通販店も同じような間違いをしている。安価な出店コストに惑わされず、かけるべきところにはお金をかける。それができないのであれば、見合わせたほうが無難であろう。
人件費も実店舗同様
通販用のホームページをつくることはお店の内外装工事や配置換えに、ホームページに商品を載せるのは陳列に、そして、ホームページを使いやすくしたり問合せメールに回答することは接客に当たる。つまり、ネット通販でも、実店舗における販売活動とほぼ同様に人件費がかかってくる。
なお、販売活動まで含めてアウトソーシングするのであれば、自社で雇用する一般事務社員の給与プラスαが目安となるであろう。
広告宣伝費もかけるべき
実際のお店を開店するときであれば、近所にチラシを撒くなどの宣伝を行なうであろう。ネット通販でも、そういった広告宣伝のためのコストを、いくらかはかける必要がある。実際は、なかなかそこまでしないところも多いようであるが、それではどんなによいお店を開いても、誰もその存在に気付いてくれない。どんな名店も、来店者がいなければ売上はゼロ。赤字に決まっている。
メールマガジン広告を出す、検索サイトにキーワード連動型の広告を出す、アフィリエイトを利用する、実店舗があればそこでアドレス入りのチラシを配るなど、予算に応じて積極的に宣伝活動をすべきである。
<< 成功のための留意点 >>
現在、小規模なネットショップのテクニック的な部分に関しては、書籍やセミナーで十分学ぶことができる。しかし、そういったことを上辺だけなぞったとしても、なかなかうまくいかないようだ。
カギは次のようなところに潜んでいる。
情報を発信しているか
ネット通販を検討中という担当者の相談を受けて一番驚くのが、何年か前にホームページを作って、そのままということである。インターネットを使ってお客様に情報を発信することに慣れていない会社が、ネット通販をやってうまくいくわけがない。
インターネットの世界では、訪問者数は情報発信の質と量に比例する。たとえ会社案内程度のホームページでも、実際にあれば、お客様の反応もわかり、「どうしたらホームページにお客様が呼べるか」というアイデアが色々と浮かんでくるものである。
まずはこまめに情報発信し、それに慣れる、ということをお勧めする。
コンセプトは固まっているか
たとえば、銀座など人通りが多い街のどこかのビルの片隅に、店舗を開くことを考えてほしい。ただお店を開いただけでは、もちろん、来店客・売上もゼロのはずである。
そのとき、次のような商売の工夫がなければ、つまり、ただお店を開いただけでは、「銀座にお店を出した」という自己満足だけである。
・どんな人に、お客様になってもらいたいですか?
・どうやってお客様に来店してもらいますか?
・どうやってお客様に買ってもらいますか?
・どうやってお客様に再来店してもらいますか?
インターネット通販においても、それと同様のことがいえる。ただ始めるのではなく、お客様に来てもらえる工夫を考える必要があるのである。
社内体制はお客様中心か
たとえば、商品ごとに営業担当者が異なっている場合、問合せをしたときにお客様が煩わしい思いをすることがある。また、営業部門と製造部門の意思の疎通ができていないため、納期遅れなどでいつもお客様に迷惑をかけるという話も聞く。
何もネット通販に限ったことではないのであるが、社内情報の流れのどこかに滞りがあれば、その分お客様への対応が遅れ、会社そのものへの信頼を失いかねない。
ネット通販でお客様に接する窓口は、ホームページとメールだけ。とくにメールでの対応はスピードも要求される。社内調整に手間取っていては間に合わない。
まずはお客様を中心に社内体制を整えることが必須である。
著者
山田 雅彦(ウェブプロデューサー)
2010年1月末現在の法令等に基づいています。
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