ビジネスわかったランド (経理)
年次決算
5つの利益さえわかれば損益計算書は十分使える
損益計算書は、「決算日までの1年間の経営成績を示したもの」です。
損益計算書でわかること
損益計算書(Profit & loss statement:P/L)は、「決算日までの1年間の経営の成績を示したもの」であり、下図のような表で報告されていますが、要するに1年間の「売上と利益の明細」です。
この損益計算書を見ると、次の2点がわかります。
一般的な損益計算書
出所:中小企業庁「中小企業の会計34問34答」をもとに作成・会社は儲かっているのか?それとも損をしているのか?
・会社の規模はどれくらいなのか?
損益計算書の5つの利益
上図を見ると「利益」とつく用語がたくさん出てきますが、損益計算書には5つの利益が表示されています。この5つの利益は、それぞれ意味することが異なり、「損益計算書から何を読み取りたいか」という目的によって注目すべきポイントが変わってきます。
1.【売上総利益(=売上高−売上原価)】
売上高とは、商品や製品の販売など、会社の主たる営業活動によって得られた収益のことです。売上原価とは、その売上を得るために直接かかった原価部分のことですが、次のような内訳で計算されます。
※+と-は期首で売上原価に反映させる
売上原価は、当期の売上についてかかった原価を計算するため、「期首の時点で前期より繰り越された商品、製品などのたな卸高は売上原価にプラスし、逆に期末の時点でまだ売れ残っている商品、製品などのたな卸高はマイナスする」ことが押さえておくべきポイントです。
この売上総利益は、別名「粗利」とも呼ばれていますが、その会社が「いくらでつくった(あるいは買ってきた)ものを、いくらで売っているのか」を把握することができます。
2.【営業利益 (=売上総利益−販売費及び一般管理費)】
販売費及び一般管理費とは、販売するためにかかった費用や経理や人事・総務など会社の運営・管理にかかった費用を言います。販売費及び一般管理費のおもな科目は下表のとおりです。
先ほど説明した売上総利益から、この「販売費及び一般管理費」を差し引いたものが営業利益であり、これにより「本業で儲かっているのか?」を把握することができます。
3.【経常利益(=営業利益+営業外収益-営業外費用)】
営業外収益とは、本業以外で発生した収益のことであり、営業外費用は本業以外で発生した費用のことです。
たとえば、お金に余裕のある会社が銀行で定期預金をして利息をもらう(受取利息)場合、これは本業以外で得られた収益なので営業外収益となります。逆に、お金がちょっと足りないので銀行からお金を借りて利息を支払った(支払利息)場合は、本業以外で生じた費用なので営業外費用となります。営業外収益と営業外費用のおもな科目は、下表のとおりです。
営業利益にこの「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引いたものが経常利益です。これは「会社がコンスタント(経常的)に稼げる力はどれくらいあるのか」を把握することができる利益となります。
4.【税引前当期利益(=経常利益+特別利益-特別損失)】
特別利益とは、通常は生じないのに、特殊な事情により今年限りで発生した利益のことです。特別損失はその逆で、特殊な事情で今年限りで発生した損失となります。
たとえば、会社規模を縮小するため保有する工場及び土地を売却したとします。その土地をあまりに古くから持っているため取得価格が安く、売却により多額の利益(固定資産売却益)が出る場合、これは特殊な要因による利益なので特別利益となります。
逆に、震災などにより工場が倒壊して多額の損失が発生するような場合、特殊な事情での損失なので特別損失となります。
特別利益と特別損失のおもな科目は下表のとおりです。
経常利益にこの「特別利益」を加え「特別損失」を差し引いたものが税引前当期利益ですが、これは「特殊な事情も含めて、会社はちゃんと儲けたのか」を把握することができる利益です。
5.【当期利益(=税引前当期利益-法人税、住民税及び事業税等)】
儲かった会社に最後に待ちかまえるのが税金ですが、これは「法人税、住民税及び事業税」や「法人税等」と記載されています。会社は稼いだ利益の約40%を税金として納める必要があり、その金額がここに記載されます。
また、上場会社などでは「法人税等調整額」という用語が出てくるケースも多いですが、これは会計の考え方と税金計算の考え方とのズレを埋めるための調整額です。
税引前当期利益から、この「法人税、住民税及び事業税等」を差し引いたものが当期利益ですが、これは「この1年間の会社の手取り利益はいくらだったのか」をつかむことができる利益なのです。
1.【売上総利益(=売上高−売上原価)】
売上高とは、商品や製品の販売など、会社の主たる営業活動によって得られた収益のことです。売上原価とは、その売上を得るために直接かかった原価部分のことですが、次のような内訳で計算されます。
売上原価=期首たな卸高+当期仕入高−期末たな卸高
売上原価の科目一覧
期首たな卸高 | + | 前期から繰り越された商品や製品 |
---|---|---|
当期製品製造原価 | + | 当期の製品を製造するのにかかった費用 |
当期仕入高 | + | 当期に商品を仕入れるためにかかった費用 |
期末たな卸高 | - | 期末時点で販売されずに在庫として残った商品や製品 |
売上原価 | 計 | 上記の計算式により算出されたもの |
この売上総利益は、別名「粗利」とも呼ばれていますが、その会社が「いくらでつくった(あるいは買ってきた)ものを、いくらで売っているのか」を把握することができます。
2.【営業利益 (=売上総利益−販売費及び一般管理費)】
販売費及び一般管理費とは、販売するためにかかった費用や経理や人事・総務など会社の運営・管理にかかった費用を言います。販売費及び一般管理費のおもな科目は下表のとおりです。
販売費及び一般管理費の主要な科目一覧
給与及び手当 | 従業員に対する給料手当。その他、賞与や退職金が別に区分されることもある |
---|---|
役員報酬 | 役員に対する給料 |
法定福利費 | 従業員の社会保険に関する会社負担分 |
福利厚生費 | 従業員の福利厚生のための費用 |
荷造発送費 | 商品や製品を荷造りして発送するために要した費用 |
販売手数料 | 商品の販売などに際して、代理店などに支払う仲介手数料 |
旅費交通費 | 会社の業務遂行のための出張旅費、電車・バス・タクシー代など |
広告宣伝費 | 不特定多数の人を対象にして商品を広告するための費用 |
消耗品費 | 事務用品などに要した費用 |
修繕費 | 建物や機械などの有形固定資産の機能を維持管理するための費用 |
支払保険料 | 生命保険料や火災保険などの損害保険料 |
租税公課 | 国税、地方税のほか、国、地方公共団体からの賦課金など |
貸倒損失 | 受取手形、売掛金ほか債権の回収不能による損失額 |
寄付金 | 会社の事業の遂行に直接関係しない資産の贈与や経済的利益の供与 |
諸会費 | 同業者団体、納税協会、商工会議所などの会費 |
賃借料 | 土地、機械、コピー機など資産の賃貸の対価として支払う金額 |
会議費 | 会社の業務に関連して、社内外で行われる商談、打ち合わせの会議のための費用 |
減価償却費 | 固定資産の取得価額を、おもに税法で定められた耐用年数によって、各年度に配分した費用 |
水道光熱費 | 水道代、電気代、ガス代など |
通信費 | 電話代、はがき代、宅配便、インターネット回線代など |
外注費 | 会社の業務の一部を外部へ委託するための費用 |
支払手数料 | 銀行の振込手数料のほか、税理士、弁護士などに支払われる費用 |
3.【経常利益(=営業利益+営業外収益-営業外費用)】
営業外収益とは、本業以外で発生した収益のことであり、営業外費用は本業以外で発生した費用のことです。
たとえば、お金に余裕のある会社が銀行で定期預金をして利息をもらう(受取利息)場合、これは本業以外で得られた収益なので営業外収益となります。逆に、お金がちょっと足りないので銀行からお金を借りて利息を支払った(支払利息)場合は、本業以外で生じた費用なので営業外費用となります。営業外収益と営業外費用のおもな科目は、下表のとおりです。
営業外収益、営業外費用の科目一覧
営業外収益 | |
---|---|
受取利息 | 預貯金や貸付をすることで受け取る利息 |
受取配当金 | 株式や出資によって受け取る配当金 |
為替差益 | 外国通貨や外貨建債権債務を円換算する際に、為替相場の変動により生じた利益 |
仕入割引 | 商品や材料などの仕入代金を期日前に支払うことで受けた利子相当額の割引 |
雑収入 | 営業外収益のうち、科目的にも金額的にも重要性の乏しいその他の項目をまとめたもの |
営業外費用 | |
支払利息割引料 | 銀行などの借入金に対する利息 |
為替差損 | 外国通貨や外貨建債権債務を円換算する際に、為替相場の変動により生じた損失 |
売上割引 | 商品や製品などの販売代金を期日前に受け取ることで支払う利子相当額の割引 |
雑損失 | 営業外費用のうち、科目的にも金額的にも重要性の乏しいその他の項目をまとめたもの |
4.【税引前当期利益(=経常利益+特別利益-特別損失)】
特別利益とは、通常は生じないのに、特殊な事情により今年限りで発生した利益のことです。特別損失はその逆で、特殊な事情で今年限りで発生した損失となります。
たとえば、会社規模を縮小するため保有する工場及び土地を売却したとします。その土地をあまりに古くから持っているため取得価格が安く、売却により多額の利益(固定資産売却益)が出る場合、これは特殊な要因による利益なので特別利益となります。
逆に、震災などにより工場が倒壊して多額の損失が発生するような場合、特殊な事情での損失なので特別損失となります。
特別利益と特別損失のおもな科目は下表のとおりです。
特別利益、特別損失の科目一覧
特別利益 | |
---|---|
前期損益修正益 | 前期以前に計上された収益または費用を当期において修正したために発生した利益 |
固定資産売却益 | 固定資産を売却したことによって生じた利益 |
特別損失 | |
前期損益修正損 | 前期以前に計上された収益または費用を当期において修正したために発生した損失 |
固定資産売却損 | 固定資産を売却したことによって生じた損失 |
固定資産除却損 | 固定資産の使用の中止やスクラップ化などにより除却した損失 |
5.【当期利益(=税引前当期利益-法人税、住民税及び事業税等)】
儲かった会社に最後に待ちかまえるのが税金ですが、これは「法人税、住民税及び事業税」や「法人税等」と記載されています。会社は稼いだ利益の約40%を税金として納める必要があり、その金額がここに記載されます。
また、上場会社などでは「法人税等調整額」という用語が出てくるケースも多いですが、これは会計の考え方と税金計算の考え方とのズレを埋めるための調整額です。
税引前当期利益から、この「法人税、住民税及び事業税等」を差し引いたものが当期利益ですが、これは「この1年間の会社の手取り利益はいくらだったのか」をつかむことができる利益なのです。
キーワード検索
タイトル検索および全文検索(タイトル+本文から検索)ができます。
検索対象範囲を選択して、キーワードを入力してください。