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年次決算

キャッシュ・フロー計算書でお金の動きがすぐにわかる
キャッシュ・フロー計算書で、お金の動きが一目瞭然になります。

キャッシュ・フロー計算書とは何か?

キャッシュ・フロー計算書は「Cash flow statement(C/F)」とも言います。キャッシュ・フロー計算書は、一定期間にどのような活動によってお金が増えたり減ったりしたのかを表した決算書であり、下図のような表で報告されます。

一般的なキャッシュ・フロー計算書図

一般的なキャッシュ・フロー計算書図※出所:中小企業庁「中小企業の会計34問34答」
この決算書が日本に導入されたのは2000年3月で、比較的新しい決算書であり、しかも作成・開示が義務づけられているのは上場会社だけです。
未上場会社でも自主的に作成している会社もありますが、どちらかと言えば少数派です。キャッシュ・フロー計算書になじみの薄い人も多いでしょう。

しかし、このキャッシュ・フロー計算書では、貸借対照表や損益計算書では把握しにくいお金の動きが一目瞭然に理解できるので、ぜひポイントを押さえてください。

なぜ、キャッシュ・フロー計算書が必要なのか?

「黒字倒産」という言葉をご存知でしょうか?
「利益はしっかり出ている。貸借対照表のパッと見では、それほど大きな問題は見当たらない。しかし、会社が突然倒産してしまった」というようなケースです。
帝国データバンク「特別企画:2008年度上場企業倒産の動向調査」によると、リーマン・ショックが起きた2008年度、上場企業の倒産件数は戦後最悪の45件だったそうですが、実はこの倒産した45件のうち21件、つまり、全体の半数近くが「黒字倒産」でした。
「黒字倒産」した会社は、損益計算書、貸借対照表の双方をパッと見ても大きな問題はないように思えるのですが、キャッシュ・フロー計算書を見れば、明らかに危ない兆候が読み取れていたのです。
そのしくみは、下図のようになります。

黒字倒産

黒字倒産

現金及び現金同等物に含まれるもの

キャッシュ・フロー計算書は、一定期間にどのような活動によってお金が増えたり減ったりしたのか、お金(キャッシュ)の流れ(フロー)を表した決算書ですが、ここで言うキャッシュには何が含まれるのでしょうか?
キャッシュ・フロー計算書の末尾には「現金及び現金同等物」という用語があり、下図のものに分けられます。

キャッシュの範囲

キャッシュの範囲

直接法と間接法

キャッシュ・フロー計算書では、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の表示方法について「直接法」と「間接法」という2種類の方法が認められています。
直接法では代金回収や仕入代金の支払いなど主要な取引ごとに収入額と支出額を記載しています。一方の間接法では損益計算書の税引前当期純利益から始まり、そこからお金の流れを把握するために必要な調整額を記載しています。下に直接法と間接法の表示方法を載せていますが、ほとんどの会社は間接法で作成しています。
会計のプロをめざす人以外は、どちらの方法でつくられていようとまったく気にする必要はなく、直接法で作成されたものを見たときに「そういえば、そんな方法もあったな」と思ってもらえれば十分です。

直接法と間接法

直接法と間接法

著者
香川晋平(公認会計士・税理士)