ビジネスわかったランド (経理)
年次決算
現金化されやすいかは「ワン・イヤールール」で見抜く
「流動」は1年以内、「固定」は1年超と覚えよう。
「流動」と「固定」の意味
「資産」と「負債」は、ある基準によって「流動」と「固定」という2つに分類されます。
それは「ワン・イヤールール」と言い、「1年以内にお金の動きがあるかどうか」という基準です。
「資産」であれば、次のように分類されます。
それは「ワン・イヤールール」と言い、「1年以内にお金の動きがあるかどうか」という基準です。
「資産」であれば、次のように分類されます。
流動資産 ⇒ 1年以内にお金に変わるもの
固定資産 ⇒ お金に変わるのが1年超はかかってしまうもの
流動負債 ⇒ 1年以内に支払わないといけないもの
固定負債 ⇒ 支払をするのが1年超先でいいもの
なぜ「流動」と「固定」に分類されるのか?
「持っている『資産』に対して『純資産』の割合が大きければ財政状態は健全である」と説明しました。しかし、仮に純資産の割合が大きくても、持っている資産の多くが建物や機械装置、土地などの固定資産だった場合はどうなるでしょうか。
仮に、貸借対照表の数値が次のような会社があったとします。
つまり、この「流動」と「固定」という分類は、「1年以内の倒産危険度」という短期的安全性を把握するために重要なポイントとなるのです。
仮に、貸借対照表の数値が次のような会社があったとします。
資産合計10億円、負債合計4億円、純資産合計6億円
これだけ見れば健全な会社ですが、内訳が次のとおりだったとします。流動資産1億円、固定資産9億円
流動負債3億円、固定負債1億円
資産と負債は「流動」か「固定」かまで確認する
流動資産とは?
1年以内にお金に変わるものが流動資産であり、流動資産の代表的な科目は下表のとおりです。このうち、現金預金のほか現金化しやすい科目である受取手形、売掛金、有価証券まで含めたものを「当座資産」と呼びます。
商品などの「たな卸資産」は販売されるとまず売掛金になり、その後の売掛金の回収でようやく現金化されることから、現金化に時間を要するために当座資産には含まれないことは押さえておきたいポイントです。
商品などの「たな卸資産」は販売されるとまず売掛金になり、その後の売掛金の回収でようやく現金化されることから、現金化に時間を要するために当座資産には含まれないことは押さえておきたいポイントです。
流動資産の科目一覧
現金 | 通貨および他社振出の小切手など |
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預金 | 銀行預金、郵便貯金、金銭信託、定期積金など |
受取手形 | 通常の営業取引により受け取った約束手形や為替手形 |
売掛金 | 商品や製品の掛売上による売上代金の未収入金など、営業上の債権 |
有価証券 | 株券、国債、地方債、社債、貸付信託の受益証券など |
商品 | 販売目的で外部から仕入れたもの |
製品 | 販売目的でみずから製造したもの |
原材料 | 製造目的で外部から仕入れた材料 |
仕掛品 | 製品の製造過程にあるもの |
前払費用 | 当期に支払った費用のうち、次期以降の前払分 |
未収収益 | 期日未到来の未収利息など、当期に発生した収益のうち、まだ受け取っていないもの |
前渡金 | 商品の仕入などに際して前払いした金額 |
短期貸付金 | 得意先、従業員などに対する貸付金のうち、1年以内に返済されるもの |
未収入金 | 通常の営業取引以外の取引から生じた債権 |
仮払金 | 支出はしたが、処理すべき科目が未確定なもの |
立替金 | 取引先、従業員などに対する金銭の一時的な立替金 |
繰延税金資産 | 税効果会計を適用している場合に生じる、一種の税金の前払いのようなもの |
貸倒引当金 | 債権に対する貸倒の見込額 |
固定資産とは?
お金に変わるのが1年超かかってしまうものが固定資産です。この固定資産は、さらに「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」(「投資等」と表示される場合もある)に分類されます。
【有形固定資産】
有形固定資産は1年を超えて使用される資産で、「有形」という名のとおり、物理的に存在している資産です。有形固定資産の代表的な科目は下表のとおりです。
【無形固定資産】
無形固定資産も1年を超えて使用される資産ですが、「有形固定資産」と違って、物理的に形がない資産です。無形固定資産の代表的な科目は下表のとおりです。
【投資その他の資産】
投資その他の資産は、1年を超えてお金に変わる資産や、将来の費用に振り替えられるものであり、代表的な科目は下表のとおりです。
【有形固定資産】
有形固定資産は1年を超えて使用される資産で、「有形」という名のとおり、物理的に存在している資産です。有形固定資産の代表的な科目は下表のとおりです。
有形固定資産の科目一覧
建物 | 自社で保有する本社ビル、工場、倉庫、店舗など |
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建物付属設備 | 電気設備、給排水設備、冷暖房設備、昇降機設備など |
構築物 | 堀、広告塔、煙突など土地の上に固定した建物以外の土木設備や工作物 |
機械装置 | 工場や建設現場で使われる動力装置。ベルトコンベア、ブルドーザー、パワーショベルなど |
車輛運搬具 | 乗用車、トラック、オートバイ、フォークリフトなど |
工具器具備品 | 工場や業務で使われる道具や、机、コピー機、ファックスなど |
土地 | 本社ビルや工場、店舗などの敷地 |
建設仮勘定 | 有形固定資産の建設または制作のために支出した金額 |
無形固定資産も1年を超えて使用される資産ですが、「有形固定資産」と違って、物理的に形がない資産です。無形固定資産の代表的な科目は下表のとおりです。
無形固定資産の科目一覧
電話加入権 | 電話加入のための権利 |
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営業権 | 「のれん」とも呼ばれ、他と比較しての超過収益力の要因となるもの |
特許権ほか | 特許法に基づいて登録することで、発明を独占的、排他的に行使できる権利 |
ソフトウェア | コンピューターを機能させるプログラムなど |
投資その他の資産は、1年を超えてお金に変わる資産や、将来の費用に振り替えられるものであり、代表的な科目は下表のとおりです。
投資その他の資産の科目一覧
投資有価証券 | 有価証券のうち、長期所有目的のもの、または市場性がないもの |
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子会社株式 | 子会社の株式 |
差入保証金 | 継続的に営業取引を行うためや債務不履行の担保とするために差し入れる保証金 |
長期貸付金 | 得意先、従業員などに対する貸付金のうち、1年を超えて返済されるもの |
流動負債とは?
今度は負債です。1年以内に支払わないといけないものが流動負債であり、代表的な科目は下表のとおりです。
このうち、通常の営業取引で発生する支払手形、買掛金、前受金といった会社の主目的たる営業取引の過程にあるものは、たとえ支払期限が1年を超える場合であっても、すべて流動負債に分類されるというルールになっています。
流動負債の科目一覧
支払手形 | 通常の営業取引で振り出した約束手形 |
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買掛金 | 原材料や商品の仕入代金の未払分 |
短期借入金 | 銀行、取引先などからの借入金のうち、1年以内に返済するもの |
未払金 | 固定資産の購入など本来の営業取引以外の取引から生じる債務 |
前受金 | 商品や製品の売上などに際して先に支払いを受けたもの |
未払法人税等 | 法人税及び住民税の未納税額 |
仮受金 | 現金入金はあったが、相手勘定科目や金額が確定していないもの |
預り金 | 取引先や従業員から一時的に預かっている金額 |
未払費用 | 期日未到来の支払利息、家賃、従業員の給料など、当期に発生した費用のうち、まだ支払っていないもの |
前受収益 | 未経過の受取利息、家賃など、当期に受け取った収益のうち、次期以降の前受分 |
賞与引当金 | 翌期に支払われる賞与のうち、当期の負担分の見積額を費用計上したもの |
固定負債とは?
支払いをするのが1年超先でいいものが固定負債であり、代表的な科目は下表のとおりです。
固定負債の科目一覧
長期借入金 | 銀行、取引先などからの借入金のうち、支払期限が1年超のもの |
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社債 | 会社が外部から資金調達を行うために発行する有価証券 |
退職給付引当金 | 期末時点における将来の退職金支払いの見込額 |
繰延資産とは?
資産には「流動資産」「固定資産」のほかに、「繰延資産」があります。これは、サービスの提供はすでに受けたものの、その効果が将来に及ぶため、その効果の及ぶ期間にわたって費用計上するために、経過的に「資産」として計上されているものです。何ともよくわからない科目です。
代表的な項目は下表のとおりですが、こちらは会計のプロをめざす人以外は無視しても問題ありません。
代表的な項目は下表のとおりですが、こちらは会計のプロをめざす人以外は無視しても問題ありません。
繰延資産の科目一覧
創立費 | 会社設立に要した費用のうち、会社が負担するもの |
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開業費 | 会社設立後、実際の営業活動までの準備にかかる費用 |
試験研究費 | 新製品、新技術の発見のために試験研究を行っている場合に特別に支出した費用 |
開発費 | 新技術、新経営組織、資源開発、市場開拓等のために支出した費用 |
株式交付費 | 新株発行のために支出した費用 |
社債交付費 | 社債発行のために支出した費用 |
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