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年次決算

これだけ!貸借対照表(B/S)
貸借対照表とは、決算日現在の会社の財政状態を表したもの。

資産、負債、純資産とは?

貸借対照表(Balance Sheet:B/S)は「決算日現在の会社の財政状態を表したもの」です。一般的に下図のような表で報告されており、「資産」「負債」「純資産」の3つに大きく分かれています。
基本的な事業活動はどの会社でも同じです。まず、お金を集めてきて、そのお金で事業活動を行うにあたって必要な財産を購入し、そして、儲けるための事業活動を行っていきます。

一般的な貸借対照表(B/S)

一般的な貸借対照表(B/S)※出所:中小企業庁「中小企業の会計34問34答」

貸借対照表の数字の変化

実際に数字を使って貸借対照表がどのように変化するのかを見ていきましょう。ここでは、飲食店を始めるために会社を設立したとします。
飲食店の内装設備、厨房機器、備品関係、家主への保証金、その他食材や商品など、飲食業を始めるために2,000万円のお金が必要だとしましょう。このとき、最初にしなければならないことは何でしょうか。
もちろん、「お金を集めること」です。まずは必要な資金である2,000万円を集めないと、何も始めることができません。ここで、貯金が1,200万円あったとします(表①)。

貸借対照表上の数字の変化

貸借対照表上の数字の変化
そうすると、まずはこの1,200万円を会社に入れて使うことになるでしょう。「純資産」の中の「資本金」と呼ばれるものになります。

しかし1,200万円の貯金だけでは、まだ800万円足りません。では、どうするか。
おそらく銀行などに頼んで、お金を借りようとするでしょう。800万円を借りると、「負債」の中の「借入金」と呼ばれるものになります(表②)。

次に、集めた2,000万円はどうするでしょうか。
もちろん、飲食店を始めるために必要なものにお金を使うでしょう。
たとえば、内装代600万円、厨房機器400万円、備品200万円、保証金500万円、食材や商品200万円だったとすると、合計1,900万円を使うことになります(表③)。そして、残った100万円は手許現金として置いておくか、銀行に預金をすることになります(表④)。

つまり、100万円の現金や銀行預金を購入したと考えれば、集めてきた2,000万円は必ず何らかの資産に変わることになります。

貸借対照表には次のような絶対的な公式があります。

「資産合計」=「負債合計」+「純資産合計」

上図の資産合計2,000万円は、負債合計800万円と純資産合計1,200万円を足したものと一致、つまりバランスしています。貸借対照表は「バランスシート」とも呼ばれますが、これは左右の合計額が必ず一致するという性質を表しているのです。

著者
香川晋平(公認会計士・税理士)