ビジネスわかったランド (経理)

在庫管理

基本は、在庫月数・在庫回転率
自社の在庫効率が把握しやすいほうを管理指標にする

在庫月数の注意点

「在庫月数」は、在庫を売上、出荷実績、使用実績などで割ります。
金額ベースで計算する際は、以下の式で求めます。
 
 在庫月数=月単位の在庫金額/月単位売上金額(使用実績金額)
 
数量ベースの場合には、上記式の金額を数量に変えて計算します。
在庫月数は、売上に対し、何か月分の在庫があるのかを測定する指標です。小さいほど、少ない在庫をうまく回転させて売上を上げていることになります。

在庫月数は、分母を「売上原価」や「製造原価」にすることもあります。売上には利益が加算されているので、それだけ分母が大きくなるからです。
売上把握や発注サイクルが週単位になっている場合は、在庫をマネージする業務サイクルが週なので、在庫週数で測定することもあります。
在庫月数を算出する際に分子となる在庫を求める方法には、いくつかのやり方があります。「前月末在庫と当月末在庫の平均値をとる場合」と、「月末在庫をとる場合」です。会計的には、前月末在庫と当月末在庫の平均値をとって計算することが多いですが、実務上は月末在庫を使います。

月末在庫は翌月売るための在庫で、どれくらいの在庫が翌月のために用意されているかを想定したほうが、在庫をどのくらいのレベルでコントロールしようとしているのかがわかりやすいためです。
在庫月数を算出する際に、分母となる売上の計算方法もいろいろあります。

年間の平均値を使う場合、当月をふくめ前後2か月の合計3か月の平均を使う場合、当月売上を使う場合、翌月の販売計画を使う場合などです。
年間の平均値を使う場合は、会計上の評価で多く使われます。実務上、月々の出荷や販売計画があまりに変動すると、毎月在庫月数が過剰になったり過少になったりして評価しにくくなる場合には、年平均売上や3か月平均売上が使われます。

しかし、在庫が当月売上実績の結果でどれほど残ったのかという評価をしたい場合や、翌月の販売に向けてどれほど準備されているのかという評価をしたい場合には、月バケットの売上対比のほうが分析・判断しやすいでしょう。
在庫月数は、どの時点の数値で計算するかによって結果が変わってくるので、目的と効果に合わせて適切な計算方法を選択しなければなりません。

なお、在庫月数と同じ計算式で「在庫率」という名称を使うこともあります。

在庫回転率は在庫月数の逆数

「在庫回転率」は在庫月数の逆数で、以下の式で計算します。
 
 在庫回転率=月単位売上金額(使用実績金額)/月単位の在庫金額
 
在庫回転率は、月の売上を上げるために在庫が何回転したのかを表現する指標で、在庫の効率を表わします
在庫月数、在庫回転率ともに自社で在庫の効率が把握しやすいほうを管理指標にします。

著者
石川和幸(経営コンサルタント)
2014年10月末現在の法令等に基づいています。