ビジネスわかったランド (経理)

在庫管理

集中購買とコストダウン要求
各拠点の共通の購入品に着目すれば、コストダウン対象がみつかる

分散購買を集中化して単価を下げる

本来は、不要なボリュームで購入することによりボリュームディスカウントを受けるような短期視野の業務は避けるべきです。
ボリュームディスカウントを合理的に行なうためには、「集中購買」の手法をとります。集中購買とは、1か所で購買することです。
購買機能のなかには、すでに述べたとおり「ソーシング」と「パーチャシング」があります。購買機能は、ソーシングとパーチャシングの形式によって分離できます。

(1)集中ソーシング・集中パーチャシング
サプライヤー選定、価格交渉・決定、調達数量交渉・決定(枠取り)などのソーシングを集中して1か所で行なうと同時に、発注(パーチャシング)も1か所で行なう方法です。
発注後の納品は、1か所に集中納品されたあと各拠点に輸送される場合と、発注時に納入先を分散させて、最初から分散納入させるパターンがあります。納入方法も取り決め次第です。

(2)集中ソーシング・分散パーチャシング
サプライヤー選定、価格交渉・決定、調達数量交渉・決定(枠取り)などのソーシングは集中して1か所で行ないますが、そこで取り決められた購入数量のガイドラインに沿って、発注(パーチャシング)は各拠点で分散して行なう方法です。

(3)分散ソーシング・集中パーチャシング
この形態は、ソーシング機能を分割すれば成り立ちます。サプライヤーの選定は各拠点で行ない、価格交渉や発注を集中して行なうパターンで、日本の工場がよく利用する方法です。
ボリュームディスカウントではなく、購買担当による価格たたきになりがちですが、コストダウンとしては1つの方法でしょう。発注後の納品は、1か所に集中納品されたあと、各拠点に輸送される場合と、発注時に納入先を分散させて、最初から分散納入させるパターンがあります。納入方法も取り決め次第です。

(4)分散ソーシング・分散パーチャシング
この方法が「分散購買」です。ボリュームディスカウントにはなりません。集中購買の反対語は分散購買です。多くの企業が分散購買を行なっています。

間接材購買にも使える集中購買

企業は仕入商品や原材料以外に、さまざまなものやサービスを購入しています。拠点でバラバラに買っていることも多く、ある拠点では安く買えても、別の拠点では高く買っている場合があります。
各拠点で共通の購入品があれば、ボリュームディスカウントする余地がありますから、仕入商品や原材料以外にも目を向けてみると、多くのコストダウン対象がみつかります。

出張時のホテル代、チケット、宅配便代、机などの什器、オフィス用のパソコンや文具・消耗品各種、各所バラバラで購入しているのであれば、集中購買でボリュームディスカウントできる可能性があります。

著者
石川和幸(経営コンサルタント)
2014年10月末現在の法令等に基づいています。