ビジネスわかったランド (経理)

在庫管理

CCC:キャッシュ効率を測る立替期間
キャッシュフロー全体の流れをとらえる指標

キャッシュフロー経営の指標

利益がいくら出ていても、企業は倒産することがあります。「黒字倒産」です。黒字倒産は現金が不足して生じます。現金と現金の流入(キャッシュインフロー)が枯渇して倒産するのです。キャッシュ不足に影響する要因の1つが在庫です。

在庫が増えると現金が不足します。在庫は生産や調達の結果です。生産に費やした給与、その他経費などのほか、部品の代金も支払う必要があります。しかし、在庫が残っているということは、売上に至っていないということです。売上でないということは、現金が入ってこないことを意味します。支払うべき現金が入ってこないので、現金不足に陥るのです。
同様に、売上を計上できても、現金商売でないかぎり、即現金は入ってきません。売掛金や受取手形となって、現金になるまで一定の時間、債権として滞留します。

売掛金や受取手形は、会計上は現金等価物です。しかし、現金そのものではありませんから、社員に給料を払う際や仕入先に仕入代金を支払う際に、売掛金を使うわけにはいきません(手形は裏書きといって支払いに使えますが、嫌がられます)。会計上は売上計上され、利益計上されているとしても、売掛金や受取手形のままでは現金が不足しているのです。現金回収を早くしなければ黒字倒産です。

こうした状況に陥らないよう、現金の流れで経営をとらえようというのがキャッシュフロー経営です。キャッシュフローを増大させるためには、経費を減らして利益を上げることが第一ですが、それ以外に在庫を減らす、売掛金・受取手形を減らす、買掛金・支払手形を増やすという方法があります。最後の買掛金・支払手形を増やすというのは、支払いを先延ばしすることで、現金を手元に長く置いておくことです。

CCCという指標

在庫だけにかぎらず、よりキャッシュフロー全体の流れをとらえる指標がCCC(Cash Conversion Cycle:立替期間)です。

CCCは「在庫月数+売掛債権月数-買掛債務月数」で計算します。売掛債権月数は、売掛債権(売掛金+受取手形)を売上で割ります。買掛債務月数は、買掛債務(買掛金+支払手形)を売上で割ります。
計算は以下のようになります。
 
 CCC=在庫月数+売掛債権月数-買掛債務月数
    =在庫/売上+売掛債権/売上-買掛債務/売上
 
CCCは、在庫回転が低いほど在庫が少なく、売掛債権月数が短いほど現金回収が早く、買掛債務月数が長いほど支払いを先延ばしにしており、現金が豊富であることを示す指標です。
キャッシュフローを考えると、在庫最小化だけでなく、売上後の現金を早く回収し、仕入債務の支払いを先延ばしにすることも重要です。

著者
石川和幸(経営コンサルタント)
2014年10月末現在の法令等に基づいています。