ビジネスわかったランド (経理)

年次決算

期末実地棚卸の迅速・正確化は
事前に在庫整理をきちんと行なったうえで、「実地棚卸指示書」などに基づき手順どおり齟齬なく実施することがポイントとなる。

実地棚卸とは
実地棚卸は、単に在庫数量を数えるだけではない。実地棚卸の目的は、経営管理上の目的と、財務諸表の棚卸資産計上額の確定とに大別され、実地棚卸を行なうに当たって、この2つの目的を達成するように、合理的に実施されなければならない。

実地棚卸の方法
実地棚卸には、次の方式がある。


迅速・正確化の留意点
実地棚卸を効率的かつ正確・有効に行なうためには、とくに次のような点に留意しなければならない。
1.事前に在庫の整理を行なう。
2.実地棚卸担当者は、カウント担当者とチェック・記入担当者とでペアを組む。カウントしつつ品質の劣化はないか、長期滞留品・流行遅れ品はないか、在庫量は過剰か不足かもチェックする。
3.棚札・棚卸表をコントロールし、回収漏れを防ぐ。
4.リストアップ方式や、チェック方式は、棚卸漏れや二重カウントが発生しやすいので、棚卸済のものにはその旨の印をつける。
5.実地棚卸中の現品の場内や事業所間の移動は、できる限り避けるが、やむなく移動させる場合には移動元、移動先の双方が連絡をとり合って、移動元で在庫計上する等のルールを明らかにしておかねばならない。
6.預り品については、預り先に対して預り証を発行し、預け品については預り証を入手する。
7.棚卸の指示は、「実地棚卸指示書」および事前説明会等により徹底させる。
8.実地棚卸によって棚卸差異が発生した場合、速やかに適切な調査を行ない、稟議などの手続きを経て帳簿の修正を行なう。
差異原因の調査に時間を要する場合には、いったん帳簿数量を実際数量に修正するとともに、調査が終了するまで「差異口座」等を設けて、ここに集約しておくとよい。

著者
西山 浩(経営コンサルタント)
監修
税理士法人A.Iブレイン
2013年1月末現在の法令等に基づいています。