ビジネスわかったランド (経理)

年次決算

決算対策とその決め方は
年度決算の見込みが黒字か赤字かなどによって決めることになるが、期末に至って採り得る対策は会計処理を中心としたものに絞られる。

決算対策の目的
通常、決算に当たって配慮すべき点は、次のとおりである。
1.利害関係者から信用を得る……売上や利益の水準や趨勢、経営分析比率など
2.経営成果の配分……配当、役員賞与や従業員に対する決算賞与のほか、次年度の昇給や仕入、売上の価格決定など
3.節税を行なう
4.貸借対照表の健全化
これらの点をすべて満たすことは困難であり、会社の規模、状況等によってどこに重点を置くかということが経営者の判断であり、決算対策である。

決算対策の許容範囲
公認会計士等の監査を受けない中小会社の場合、事実上チェックを受けるのは税務調査だけということも多いが、架空売上や架空資産の計上といった粉飾決算は厳に慎まねばならない。
非公開会社といえども、取締役や監査役に対しては、粉飾された決算書を信じて損害を被った株主や債権者に対する損害賠償責任や、違法配当に対する刑事罰もあり得るのである。

決算対策の内容
決算期末に至って採り得る対策は限られており、会計処理を中心としたものに絞られるが、長期的な経営政策も決算対策につながるものも多い。主要なものをあげると、次のようになる。
1.会計事実そのものを変更する
・子会社の吸収合併により損益の受入れや受入資産の評価替え
・部門の分離子会社化
・赤字子会社の清算
・土地、有価証券等含み損益のある資産の売却(いわゆる有価証券のクロス取引による損益は、会計上・税務上なかったものとして取り扱われるため注意)
2.会計処理方法の変更
3.会計事実の認識……資産の評価損や引当金の計上などすでに発生している事実や将来の費用の見積りには幅があり、決算政策による判断の余地があり得る。
4.重要性の原則……前払費用を経過勘定項目としない処理のように、重要性の乏しいものについては本来の厳密な処理ではなく、簡便的な処理方法が認められているものがある。
5.剰余金の処分……処分可能利益の範囲内であればとくに規制はないが、経営者の姿勢が、最も現われやすい項目である。

著者
西山 浩(経営コンサルタント)
監修
税理士法人A.Iブレイン
2013年1月末現在の法令等に基づいています。