ビジネスわかったランド (経理)
年次決算
中小企業倒産防止共済はオススメの節税対策
⇒業績がよいときは節税対策、悪いときは黒字化対策! 40か月以上支払うと返戻率100%
業績が悪くなったら解約もあり
これから取り上げるのは、「守りの節税」になります。「大口の得意先と契約ができそうなので今後利益が増加しそうだ」「商品需要が堅調で今後継続的に利益が見込めそうだ」という場合に、社外積立制度のようなイメージで、節税対策として中小企業倒産防止共済制度への加入を検討してください。
中小企業倒産防止共済制度とは、取引先が倒産などした場合に掛金総額の10倍までの金額(8000万円以内)の融資が、無担保・無保証・無利子で受けられるというものです。つまり、得意先などが倒産したときに、自社が連鎖倒産しないための制度となっています。これが本来の制度趣旨です。
しかし、毎月支払う掛金は全額費用となり、さらには、掛金を40か月以上支払うと解約手当金が100%戻ってきます。そこで、この中小企業倒産防止共済制度を、「業績がよいときには掛金が全額費用となって節税対策」とし、「業績が悪くなったら解約して資金繰り対策および黒字化対策」とするのも有効な経営戦略です。
もちろん、得意先倒産などのときには融資制度としても活用できます。節税しながら、もしもの備えもできていることになります。
加入の注意点
中小企業倒産防止共済制度は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している制度で、加入できるのは、引き続き1年以上事業を行なっている従業員300人以下の製造業など、下表にあるような中小企業者となっています。
■中小企業倒産防止共済制度の概要
■加入資格 引き続き1年以上事業を行なっている以下の中小企業者。 ●従業員300人以下または資本金3億円以下の製造業、建設業、運輸業その他の業種の会社および個人。 ●従業員100人以下または資本金1億円以下の卸売業の会社および個人。 ●従業員100人以下または資本金5000万円以下のサービス業の会社および個人。 ●従業員50人以下または資本金5000万円以下の小売業の会社および個人。 ●企業組合、協業組合など。 ※一部の業種に政令にもとづく例外がある。 ■掛金 ●毎月の掛金は、5000円から20万円までの範囲内(5000円単位)で自由に選べる。 ●加入後、増・減額ができる(ただし、減額する場合は一定の要件が必要)。 ●掛金は、総額が800万円になるまで積み立てることができる。 ●掛金は、税法上損金(法人)または必要経費(個人)に算入できる。 ■貸付事由 加入後6か月以上経過して、取引先事業者が倒産し、売掛金債権等について回収が困難となった場合。 ■貸付金額 掛金総額の10倍に相当する額か、回収が困難となった売掛金債権等の額のいずれか少ない額(一共済契約者当たりの貸付残高が8000万円を超えない範囲)。 ■貸付期間 5年(据置期間6か月を含む)の毎月均等償還。 ■貸付条件 無担保・無保証人・無利子(ただし、貸付けを受けた共済金額の1/10に相当する額は、掛金総額から控除される)。 ■一時貸付金の貸付け 加入者は取引先事業者に倒産の事態が生じない場合でも、解約手当金の範囲内で臨時に必要な事業資金の貸付けが受けられる。 ■加入の申込先 取引先の金融機関の本支店・商工会連合会・市町村の商工会・商工会議所・中小企業団体中央会などの独立行政法人中小企業基盤整備機構と業務委託契約をしているところへ申し込む。 |
掛金は、5000円から20万円までの5000円刻みで自由に選択できます。先述したように、この掛金は税務上全額費用処理が可能です。ちなみに、解約したときの解約手当金は税務上、全額収入処理となります。
また、この制度は得意先が倒産などしたときに融資が受けられますが、「対象となる倒産」には、「夜逃げ」や「内整理」などは含まれません。また、無利子とはいえ、借入をした場合、共済金額の1/10に相当する額は、掛金から控除されます。
著者
今村 仁(マネーコンシェルジュ税理士法人/税理士)
http://www.money-c.com/
2013年1月末現在の法令等に基づいています。
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