ビジネスわかったランド (経理)

純資産関連の仕訳

[自己株式] 自己株式を譲渡した

設例

前項(「自己株式を取得した」)の自己株式のうち5,000株を450万円で得意先A社に譲渡し、代金は普通預金に入金した。

仕訳

借方 貸方
普通預金 4,500,000 自己株式
自己株式処分差益
(その他資本剰余金)
4,000,000
500,000

解説

会社法において、自己株式は(一時的な)資産ではなく、資本と同様に考えています。つまり、それらの取得・処分は、資本取引であり、取得は「資本の払い戻し」、処分は「増資又は追加の出資」と考えてよいでしょう。

◎売却差額の表示
したがって、自己株式を処分した場合の処分差益は、損益計算書には表示されません。自己株式の帳簿価額とその処分価額との差額の処理は、
  1. 自己株式の処分価額>自己株式の帳簿価額 の場合
    「その他資本剰余金」の「自己株式処分差益」として表示
  2. 自己株式の処分価額<自己株式の帳簿価額 の場合
    「 その他資本剰余金」から減額し、減額しきれない場合は、その他利益剰余金(繰越利益剰余金)から控除

することとし、同一の会計年度において、自己株式処分差益と自己株式処分差損が発生した場合は、それらの取引の損と益を通算し、差益の残高となる場合には(1)により、差損の残高となる場合には(2)により処理することとなります。

●消費税処理のポイント
自己株式に関しても資本の移転取引であり、非課税取引となります。

著者:千田喜造(税理士)