ビジネスわかったランド (経理)

固定負債関連の仕訳

[長期預り金] 敷金を受け取った

設例

  1. 当社ビルの3階はテナントとしているが、期首に新たな入居者と5年間の賃貸契約を結び、預り敷金300万円(6か月分)を小切手で受け取った。決算に際して上記の預り敷金の3%を償却する。
  2. 賃貸ビルの入居者から2年契約で、敷金200万円を現金で受け取った。なおこのうち、40万円は契約により借主に返還しなくてもよい金額である。

仕訳

  借方 貸方
1. 現金
長期預り金
3,000,000
90,000
長期預り金
雑収入
3,000,000
90,000
2. 現金 2,000,000 長期預り金
雑収入
仮受消費税等
1,600,000
363,637
36,363

解説

通常、不動産の賃貸借契約を結ぶ際に、借主は賃料の数か月分相当額の保証金を貸主に預け入れる慣行があります。これは、賃料の滞納などのリスク回避を担保する借主からの「預り金」であり、契約期間が1年を超える場合は長期預り金として処理します。
  1. 純粋な「預り金」であれば、契約終了時まで残高はそのままなのですが、一部地域(都心部に多いようですが)においては、その一部が「償却」という形で貸主に帰属する契約もあります。この償却相当額は、当然、貸主の収入ということになります。
  2. また、本来は借主に返還すべき預り金ですが、契約時における条項として、「契約満了時または退去時に○○万円(または保証金の○%)は返還しない」とされていることがあります。その場合は、契約締結時に返還しないことが確定した権利設定の対価と考えられます。よって、その時点での収益として処理する必要があります。

著者:千田喜造(税理士)