ビジネスわかったランド (経理)

流動資産関連の仕訳

[有価証券] 有価証券を売買した(1)

設例

当社(3月末決算)は、売買目的で次の有価証券の取引を行なった。
  1. ○年3月29日、取引先のX社との間で、上場する甲社の株式を1株500円で10,000株を譲り受ける契約を結んだ。
  2. ○年3月31日、甲社の証券取引所の終値は510円であった。
  3. ○年4月1日、前日の評価益を洗い替えした。
  4. ○年4月2日、X社と甲株式の引渡しを受け、同時に決済を行ない、代金500万円は小切手で支払った。
  5. ○年4月4日、仕入先の乙社にX社株式を505円で全額売却した。代金は未収である。

仕訳

  借方 貸方
1. 売買目的有価証券 5,000,000 未払金 5,000,000
2. 売買目的有価証券 100,000 売買目的有価証券評価益 100,000
3. 売買目的有価証券評価益 100,000 売買目的有価証券 100,000
4. 未払金 5,000,000 当座預金 5,000,000
5. 未収入金 5,050,000 売買目的有価証券
売買目的有価証券売却益
5,000,000
50,000

解説

従来の有価証券の会計慣行では、受渡日に取引を認識する「受渡日基準」(上記(3)の時点)としていましたが、「金融商品基準」により、契約締結時、つまり約定日にその認識をする「約定日基準」(上記(1)の時点)に改められました。これは、契約時からその時価の変動によるリスクに移転し、同時に相手方の財政状態に基づく信用リスクも契約当事者に移転するからと考えられるからです。

●消費税処理のポイント
有価証券の売買による収入は非課税であり、有価証券の評価に係る損益は、対象外の取引です。

著者:千田喜造(税理士)