ビジネスわかったランド (経理)

流動資産関連の仕訳

[受取手形、裏書手形、不渡手形] 裏書手形が不渡りとなった

設例

X年3月10日、A株式会社振り出しの受取手形300万円の引き落とし期日であるが、同社が2度目の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた。なお、この手形は、仕入先の甲商店に裏書譲渡していたため、即日同商店に対して現金で支払った。

仕訳

●評価勘定
借方 貸方
裏書手形
不渡手形
3,000,000
3,000,000
受取手形
現金
3,000,000
3,000,000

●対照勘定
借方 貸方
裏書手形
不渡手形
3,000,000
3,000,000
裏書手形義務見返
現金
3,000,000
3,000,000

解説

裏書手形や割引手形が不渡りとなった場合には、裏書をした取引先や割引をした金融機関等から、その手形を買戻ししなければなりません。買戻ししたときの評価勘定、対照勘定の仕訳はそれぞれ上記のようになります。
設例における手形の流れは、次のようになっています。

A株式会社(振出人:振出)→当社(第一裏書人:裏書)→甲商店

甲商店は、手形の取立てを金融機関に依頼したところ、支払拒絶されたので、手形代金相当額を、第一裏書人である当社に請求することができます。これを手形の「遡及」といいます。当社も遡及する権利はありますが、A株式会社は不渡りを出していますから回収するのは事実上困難な場合が多いものと思われます。割引の場合も同様で、金融機関が譲渡人である当社に対して手形代金を遡及します。

著者:千田喜造(税理士)