ビジネスわかったランド (経理)

流動資産関連の仕訳

[受取手形、不渡手形] 受取手形が不渡りとなった

設例

X年3月10日、A株式会社振り出しの受取手形300万円の引き落とし期日であり、取立てを依頼していたが、同社が2度目の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた。

仕訳

借方 貸方
買掛金 500,000 裏書手形 500,000

解説

定められた手形の満期日に、手形の支払人の資金不足等のために、手形金額の支払いを拒絶された手形は不渡手形として処理します。

◎暫定的な処理
手形が不渡りとなった段階で手形上の効力は消滅します。このような場合、不渡手形を振り出した取引先に対して、買掛金があるとか、取引保証金を預かる等の担保的なものがある場合は別ですが、手形記載金額の全額が回収不可能という場合が多いようです。しかし、不渡りとなっても、この段階で全額が回収不可能になったとはいえませんから、貸倒損失ではなく、受取手形勘定から不渡手形勘定に振り替えます。

◎「銀行取引停止」とは
銀行取引停止処分とは、1度目の不渡手形を出してから6か月以内に2度目の不渡りを出した際に(つまり6か月間に2回不渡りを発生させてしまった際)、手形交換所によって発動される私的制裁処分です。
具体的な処分内容は、手形交換所に参加している銀行と2年間にわたって当座勘定や貸出取引が禁止されます。この制裁により、当該期間中は、小切手や手形の振出し、手形の割引等の取引はできず、事実上現金決済による資金運用しかできないことになります。これによって、企業活動上、大変大きな制約を受けると同時に、取引先・金融機関への信用失墜は計り知れないものとなります。

著者:千田喜造(税理士)