ビジネスわかったランド (経理)

特別損益関連の仕訳

[固定資産圧縮損] 圧縮記帳を行なった

設例

X社(3月末決算)は、X年9月、設備の近代化資金として、県から、補助金1,000万円を受けたが(「国庫補助金収入」勘定で計上済み)、当該設備を3,000万円で取得したので(「機械装置」勘定に計上済み)、上記補助金に関して直接減額により、圧縮記帳を行なう。

仕訳

借方 貸方
固定資産圧縮損 10,000,000 機械装置 10,000,000

解説

国庫補助金を受けた場合は、そのままにしておくと、法人税の課税を受け、その分大切な資金が減殺され、予定していた資産の取得が困難になってしまいます。
そこで、一定の要件を満たす場合、その補助金相当額を固定資産圧縮損として特別損失に計上することにより、収益を相殺させて、利益が発生しない処理をします。このような手続きを「圧縮記帳」といいますが、収用等に伴い代替資産を取得した場合や保険差益等の場合にも、この圧縮記帳の制度が認められています。

◎圧縮記帳の効果
設例の場合、直接減額により、機械装置の取得価額が補助金相当額だけ減額されたため、圧縮記帳後の減価償却費の計上額は、それを行なわない場合と比較して減少します。つまり、圧縮記帳は、国庫補助金相当額の課税の免除ではなく、「課税の繰り延べ」と考えられます。
圧縮記帳の対象が、減価償却資産の場合は、ほぼ耐用年数にわたっての課税の繰延べ、土地の場合は、売却するまでの課税の繰り延べということになります。

●消費税処理のポイント
固定資産圧縮損は、対価が存在しないので、対象外取引です。

著者:千田喜造(税理士)