ビジネスわかったランド (経理)

特別損益関連の仕訳

[固定資産売却益] 所有する土地が収用された

設例

高速道路建設計画により、当社所有の工場が収用され、土地5,000万円(帳簿価額1,200万円)、建物3,000万円(帳簿価額500万円)、工場内の機械装置1,000万円(帳簿価額100万円)、および営業補償500万円が普通預金口座に振り込まれた。なお、国からの収用証明書では、土地は買取補償、建物に関しては、移転補償として交付されていが、建物は移転できないので、取り壊したうえ、国に引き渡した。

仕訳

借方 貸方
普通預金 95,000,000 土地
建物
機械装置
雑収入
固定資産売却益
12,000,000
5,000,000
1,000,000
5,000,000
72,000,000

解説

土地収用法等により、国や地方公共団体が、収用を前提として会社の所有する財産に対して、買取り等の申し出をすることがあります。
半強制的な法律による所有権の移転であり、会社が自ら進んで売却するものではありませんが、この場合も一種の「譲渡」の取引であり、それまでの資産の含み益が実現したものとして、「売却益」が認識されます。ただし、この売却益に対しては、税務上の措置がとられています。
収用の際、気をつけたいのは、その収入金の性質です。「物」の譲渡対価として受け取ったものなのか、営業上の収益減少や費用増加、損失の発生として受け取ったものなのかの判断を正確にすることです。

●消費税処理のポイント
収用の場合、対価であるか否かは、収用証明書等の形式基準により判断します。したがって、設例の場合、土地は対価補償で非課税売上に、建物等は移転のため交付を受けたので、対象外の取引です。

著者:千田喜造(税理士)