ビジネスわかったランド (経理)

販売費・一般管理費関連の仕訳

[貸倒損失] 売掛金が回収不能となった(3)

設例

得意先C社は、ここ数年債務超過の状態が続いており、同社に対する売掛債権220万円は、全額回収不能である。そこで、同社から取引の保証金として預かっている10万円を控除後貸倒損失として処理した。なお、この債権はすべて課税取引(消費税等の税率8%)にかかるものである。

仕訳

借方 貸方
貸倒損失
仮受消費税等
預り保証金
1,944,445
155,555
100,000
売掛金 2,200,000

解説

法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができます。この場合において、その金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとされています。

◎「その全額」と「明らかになった事業年度」の意味
法的に金銭債権が消滅した場合でなくても、貸倒損失の計上は可能ですが、注意したいのは「その全額」ということと「明らかになった事業年度」という言葉です。法人税では金銭債権の評価減を禁止していますから、部分的な貸倒損失(30%とか80%等)を認めると金銭債権の評価減を認めるのと同じ結果になってしまうため、「全額」という文言が付されています。また、会計上も、回収不能が明確になれば、その時点で貸倒処理すべきであり、利益が出るまで処理を留保しておいてというような利益調整の具とすべきではないことから、「明らかになった事業年度」としています。

著者:千田喜造(税理士)