ビジネスわかったランド (経理)

販売費・一般管理費関連の仕訳

[貸倒損失] 売掛金が回収不能となった(5)

設例

当社の得意先E社、F社、G社、H社に対する売掛金は、それぞれ10,000円、8,000円、15,000円、12,000円であり、採算の売掛金の支払催促に対しても支払いがなく、各社に対する売掛債権から備忘価額1円を控除した貸倒処理した。なお、売掛債権に関する担保物はなく、この売掛債権はすべて課税取引(消費税等の税率8%)にかかるものである。

仕訳

借方 貸方
貸倒損失
仮受消費税等
41,665
3,331
売掛金 44,996

解説

◎回収コストが、債権額を上回る場合
法人が同一地域の債務者の有する売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、その債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないときについて、法人がその売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認めることとされています。

◎具体例
設例において、当社は東京にあり、各得意先E社(北海道)、F社(秋田)、G社(鳥取)、H社(金沢)であったとすると、それら各得意先の売掛金を回収するため出張したのでは、その旅費、人件費等で逆に売掛金の回収額以上のコストがかかるため、貸倒処理を認めるというものです。ただし、この場合も前設例同様、全額貸倒処理ではないので債権管理は当然必要になり、実際に売掛債権の回収をした場合は雑収入等で処理することとなります。

著者:千田喜造(税理士)