ビジネスわかったランド (経理)

販売費・一般管理費関連の仕訳

[役員給与、寄附金] 役員の寄附金を立て替えた

設例

  1. 国立大学Aの創立50周年記念の図書館建築計画のために、現金で100万円寄付した、なお、同大学は当社の代表取締役甲が卒業した大学であり、上記の寄付に関する案内書は甲宛であったが、当社が負担したものである。源泉所得税は考慮しない。
  2. 県立高校Bに校舎増築のために、10万円の寄付を現金で行なった。同校からは毎年数人の生徒の入社があり、また、当社の経理部長乙の出身校であるが、乙は自身の負担で10万円の寄附をしている。

仕訳

  借方 貸方
1. 役員給与 1,000,000 現金 1,000,000
2. 寄附金 100,000 現金 100,000

解説

◎名目が「寄附金」でも
  1. 国や地方公共団体に対する寄附金については、基本的にその全額が損金算入とされていますが、その寄附金の支出の相手方、目的等からみて、その法人の役員個人等が負担すべきと認められるものは、その役員等に対する給与として扱われます
    設例の場合、本来はその大学出身者である甲が支出すべきであった寄附金を会社が肩代わりしたものと考えられますから、寄附金ではなく、会社から甲に対する給与(定期同額以外の給与)として、損金不算入となり、なおかつ、源泉所得税の徴収が必要になります。
  2. この設例の場合も乙の出身校ですが、同行からの卒業生が数人入社しており、乙のみの事業関連から寄附したとはいえないこと、乙は自分のお金でも寄附していることから考えると、これは寄附金として処理すべき取引と考えられます。

著者:千田喜造(税理士)