ビジネスわかったランド (経理)

販売費・一般管理費関連の仕訳

[従業員退職金] 役員昇格者に退職金を支給した

設例

  1. 従業員(使用人)Aが取締役に就任した。そこで、従業員Aに対して従業員の退職給与規定の計算により、900万円現金で支払った(源泉徴収は考慮しない)。
  2. 定年延長に伴い退職給与規定を改定し、旧定年に達した従業員Bに対して、退職金700万円を現金で支払った。なおその後は、既往の在職年数は加味しない(源泉徴収は考慮しない)。

仕訳

  借方 貸方
1. 従業員退職金 9,000,000 現金 9,000,000
2. 従業員退職金 7,000,000 現金 7,000,000

解説

◎取締役昇格時の退職金
従業員が昇格して取締役になった場合、会社との関係が「雇用」関係から、「委任」関係へと変わります。そこで退職給与規定に基づき、使用人であった期間に係る退職金を支給したときは実際に会社を退職していなくても、「従業員退職金」として処理します。

◎定年延長に伴う打切り支給
定年延長に伴い、それまでの退職給与規定を改定したため、旧定年に該当することとなった者に退職金を支払うこともあります。これには前払金的な要素もあるかと思われますが、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは退職金としての処理が認められます。

◎未払金処理は損金にならない
ただし、(1)、(2)いずれの場合も、打切り支給したこととして未払金等に計上したときは、法人税法上認められていない退職給与引当金の繰入を100%認めたことと同じになりますから、未払金処理の場合は、損金(税務上の費用)となりません。

著者:千田喜造(税理士)