ビジネスわかったランド (経理)

販売費・一般管理費関連の仕訳

[貸倒損失] 売掛金が回収不能となった(4)

設例

得意先D社は、再三の売掛金の支払催促に対してもまったく応答がなく、取引を停止してから1年以上が経過しており、同社に対する売掛債権50万円から備忘価額1円を控除して貸倒処理した。なお、売掛債権に関する担保物はなく、すべて課税取引(消費税等の税率8%)にかかるものである。

仕訳

借方 貸方
貸倒損失
仮受消費税等
462,962
37,037
売掛金 499,999

解説

◎取引停止による貸倒れ
債務者との取引を停止した時以後1年以上経過した場合、(その売掛債権について担保物のある場合を除く)には、その債務者に対して有する売掛債権について法人がその売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認めることとされています。
設例では備忘価額として、売掛債権額50万円から貸倒処理した49万9,999円との差額1円を残すこととなります。

◎債権の種類に注意
この場合の債権は、売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含みません。
この処理は、金銭消費貸借契約による債権と異なり、支払いが遅延等したからといって、直ちに回収・確保の手続きを取ることが困難であるという理由であるからと考えられます。
ただし、全額貸倒処理ではなく、備忘価額を残すわけですから、貸倒処理後も債権管理は当然必要になり、実際に売掛債権の回収をした場合は雑収入等で処理することとなります。

著者:千田喜造(税理士)