ビジネスわかったランド (経理)

販売費・一般管理費関連の仕訳

[貸倒損失] 売掛金が回収不能となった(2)

設例

得意先B社は、ここ数年債務超過の状態が続いており、同社に対する売掛債権108万円は、全額回収不能である。そこで、同社に対して、内容証明郵便により同債権を免除する通知を行った。なお、この債権はすべて課税取引(消費税等の税率8%)にかかるものである。

仕訳

借方 貸方
貸倒損失
仮受消費税等
1,000,000
80,000
売掛金 1,080,000

解説

◎書面で債務免除
法人の有する金銭債権について、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額については、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することとなります。

◎相当期間とは
明文の規定はありませんが、この場合の「相当期間」とは、さまざまな回収努力をしたが、どうにも回収できそうにないと判断するまでのウォッチング期間と考えればよいでしょう。
回収努力をしなかった場合や実際は支払い能力があるのに単に債務免除した場合等は、貸倒損失ではなく、単なる寄附金とされたり、債権の相手が役員である場合は役員給与(損金不算入)となる場合もあります。
債務者に対して、法的な債務免除(内容証明郵便、公正証書等)の手続きをいったん行なうと、その後、税務上貸倒処理が認められない場合も、法的(民事上)に債権は消滅しており、損失を取り戻す機会を失ってしまいますから、慎重な判断が必要と思われます。

著者:千田喜造(税理士)