ビジネスわかったランド (経理)

販売費・一般管理費関連の仕訳

[福利厚生費] 役員に弔慰金を支給した

設例

当社の代表取締役Aが、出張における特約店販売会議中急逝した。Aは当社の創始者であり、弔慰金としてAの月額報酬の1年分である720万円を現金で支払った。

仕訳

借方 貸方
福利厚生費 7,200,000 現金 7,200,000

解説

◎弔慰金の性格
法人税法では、原則として、退職金は役員の退職によって支給される一切の給与(経済的利益の供与を含む)と解されています。
ただし、弔慰金は、亡くなった人を弔い、あとに残された人を慰めるためのお金であり、役員の退職金とはその性格を異にしており、その実質が退職給与の一部であると認められないものは、退職給与とはなりません。つまり弔慰金として適正な額は、単純に費用となります。

◎「業務上」の判断
しばしば、「業務上の死亡は普通給与の36か月分でそれ以外は6か月分」という声を耳にします。業務上の死亡とは直接業務に起因する死亡または、業務と相当因果関係があると認められる死亡とされ、その判定はかなり厳密に考えられているようです。たとえば、運送業の代表者が、トラックの運転中に交通事故により死亡したような、労働災害に近い状況の場合などです。ただし、これは相続税基本通達における、受け取る側の一つの基準であり、法人税法で定められているものではありません。
設例のように、「業務上」ではなくとも、「業務中」であり、その適正額は、上記の基準に拘束されるのではなく、退職金と同様、法人の規模、役員の地位、在職期間、死亡退職に至った事情等を勘案して決定すべきものと考えられます。

著者:千田喜造(税理士)