ビジネスわかったランド (経理)

流動資産関連の仕訳

[受取手形、割引手形] 受取手形を銀行で割り引いた(2)(評価勘定)

設例

  1. X年5月10日、売掛金50万円の代金回収として、手形(6か月サイト)を受け取った。
  2. 翌日上記の手形を銀行で割り引き、割引料5,000円が差し引かれ、普通預金に振り込まれた。
  3. X年11月10日、上記の手形の期日となり、決済された。

仕訳

  借方 貸方
1. 受取手形 500,000 売掛金 500,000
2. 普通預金
手形譲渡損
495,000
5,000
割引手形 500,000
3. 割引手形 500,000 受取手形 500,000

解説

金融機関で割り引いた手形は、裏書譲渡という形式により、手元を離れ、自社の管理するところではなくなります。しかし、もし、その手形が不渡りになった場合には、割引先の金融機関から、その手形を買い戻さなければなりません。この遡及義務(偶発債務)はその手形の引き落とし期日までは残っています。そこで、その遡及義務を仕訳という形で残しておく方法として、「評価勘定」による方法があります。
評価勘定では、割り引いた受取手形に対して、割引手形という勘定科目を使います。割り引いた手形が引き落とされる期日までは、一種の負債としての割引手形は残ることとなり、引き落としの期日になって初めて割引手形という負債と、受取手形という資産が消滅することとなります(設例の(3)の仕訳)。
決算時の貸借対照表においては、遡及義務を考慮しない金額、つまり割引をした手形も除いた金額を受取手形として表示し、割引手形の残高については、脚注の注記に、「受取手形の割引高 ○○○円」と表示します。

著者:千田喜造(税理士)