ビジネスわかったランド (経理)
特別損益関連の仕訳
[債務免除益] 役員が会社に対する債権を放棄した
設例
- 長期借入金勘定に計上されている代表取締役Aからの1,000万円については、当社の業績が悪く、金融機関に対する返済が多額なため、当分同氏への返済の目途が立たないような状態である。そこで、同氏から、その全額を放棄してもらうことが決定した。
- 3期前の株主総会により決議した役員賞与300万円であるが、その後に会社の業績が急に悪化し、現在も支払うことができない。そこで、取締役会の決議により、役員全員が放棄することとした。
仕訳
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
1. | 長期借入金 | 10,000,000 | 債務免除益 | 10,000,000 |
2. | 未払役員賞与 | 3,000,000 | 債務免除益 | 3,000,000 |
解説
- 業績不振等により、会社の再建のために、経営責任をとってその役員が自ら持つ債権を放棄したような場合は「特別利益」の債務免除益という勘定科目で処理します。
- 法人が定時株主総会等により決議した役員賞与については、原則的には損金不算入となっています。この役員賞与について、何らかの理由により支払わないとした場合においても、債務免除に違いはなく、本来であれば、課税される利益を構成します。ただし、次の要件を満たす場合には、法人税は課税されません。
ア)取締役会等の決議によるものであること
イ)会社の整理、事業の再建等のために行なわれるものであること
ウ)支払われないこととなる金額が一定の基準によるものである
●消費税処理のポイント
債務免除益も一方的な利益の享受であり、対価を伴いませんから、消費税の対象外取引です。
著者:千田喜造(税理士)
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