ビジネスわかったランド (経理)
資金繰りと資金管理
「中小企業再生支援協議会」を活用するメリットは?
再生計画のスタート後の支援を受けやすくなります
中小企業再生支援協議会(以下、「協議会」といいます)は、産業活力再生特別措置法に基づく中小企業の事業再生を支援する公的機関で、各都道府県に1か所ずつ設置されています。
協議会には専門家が常駐し、窓口相談(以下、「1次対応」といいます)を受け付けています。
1次対応では、電話やFAXで申込みをしたうえ、決算書等の資料を持参し、専門家からアドバイスを受けます。1次対応の後、事業計画を策定して銀行と調整する必要があると協議会が判断した場合は、再生計画の策定支援(以下、「2次対応」といいます)に入ります。
2次対応は、専門家で構成した個別支援チームが再生計画の作成を支援し、協議会がリスケや債権放棄等の金融対策について関係銀行と調整を行ないます。
協議会を利用することの会社側のメリット、デメリットは次のとおりです。
●メリット
(1)公的機関が関与することで、銀行の説得が容易になる
(2)再生計画スタート後の金融支援を受けやすくなる
(3)正式な形で債権放棄等の支援が受けられる
(2)再生計画スタート後の金融支援を受けやすくなる
(3)正式な形で債権放棄等の支援が受けられる
金融円滑化法によって、リスケそのものは交渉しやすくなっていますが、リスケ後に新規融資を受けることは容易ではありません。したがって、(2)のメリットは重要です。協議会が関与していれば、ニューマネーを含む抜本的な計画に銀行が同意する可能性が出てきます。
また、「第2会社方式」等で債権放棄を受ける場合、協議会のチェックを経ていることから、新会社は表舞台で堂々と事業に取り組めます。第2会社方式とは、収益性のある事業を会社分割や事業譲渡により切り離し、他の事業者(第2会社)に承継させて、事業の再生を図るしくみです。
●デメリット
主なデメリットは以下の3つです。
(1)金融債務以外は調整できない
(2)費用がかかる
(3)経営責任を追及される場合がある
(2)費用がかかる
(3)経営責任を追及される場合がある
協議会の力が及ぶのは銀行までであり、仕入先への債務や租税債務などは調整することができません。このため、金融債務以外にこうした債務を抱え、滞納しているような場合は、対応してもらえないことが多いようです。
財務・事業デューデリジェンス(財務体質の詳細や事業の強み・弱み等の精査)に要する専門家の活動費用は、会社が負担することが多くなっています。数百万円にのぼるケースもありますから、金額の事前確認が必要です。
「多額の費用がかかるが、リスケしか見返りがない」という場合は、メインバンクとよく話し合ったほうがいいでしょう。最近は、デューデリジェンスはできるだけ簡素化する方向に変わってきています。
経営責任に関しては、協議会スキームは経営者の退任を必須とするものではなく、金融支援の内容などからの個別の判断になります。
経営責任に関して、リスケの場合は、役員報酬の削減程度にとどまることがほとんどのようです。ただし、債権放棄を伴う場合には、原則として、経営者の退任や私財提供が要求されます。
安田 順(中小企業診断士)
キーワード検索
タイトル検索および全文検索(タイトル+本文から検索)ができます。
検索対象範囲を選択して、キーワードを入力してください。