もちろん可能ではあります。ただし、リスケから抜け出すためには、多くの場合、銀行の融資再開による借換えが必要です。

リスケに至った会社の場合、リスケ前の段階で、平常時の利益の10倍以上の約定返済が設定されていることも珍しくありません。その条件が変わらないままで従前の約定返済を再開するのは、相当に無理があります。そこまで利益を増やす計画が成立しないからです。

となれば、融資再開による借換えで返済を元に戻すしかありません。一度リスケを行なっても、経営改善計画の完了後（５年後）に正常先とみなされる程度に財務内容が改善し、かつ、相応の返済力があれば、融資が再開される可能性は十分にあります。業績が順調に回復し、キャッシュフローが増えれば、リスケから１～２年で借換え融資を受けて抜け出せることもあります。
通常、融資再開に応じるのはリスケを依頼した既往の銀行ですが、融資が積極的に行なわれている時期であれば、新規の銀行から融資を受けられることもあります。銀行が重視するのは、その時点の業績や財務内容です。リスケという過去の傷があっても、財務内容が正常先レベルまで回復していれば融資は可能なのです。

ただし、信用保証協会の保証については、いったん返済を正常化して、半年程度経過しないと再開されないため、通常は銀行のプロパー融資で全体の返済を正常化した後、保証協会付き融資を復活させる段取りになります。


安田　順（中小企業診断士）