ビジネスわかったランド (経理)

資金繰りと資金管理

条件変更契約を締結する際に注意すべきことは何ですか?
すべての銀行に足並みをそろえてもらう必要があります

リスケが認められれば、銀行と返済額を変更する条件変更契約を締結します。

契約を締結する際には、次の点に注意する必要があります。

(1)契約時の支払いに支障がないようにしておく
契約時には、返済を凍結していた期間の経過利息と約定元金(リスケ後の条件で計算したもの)を精算します。また、保証協会付き融資については、追加の保証料が必要になる場合があります。
これらを精算できないと、リスケが受けられなくなりますから、事前に資金繰りを考えておくことが重要です。

(2)返済額の見直しは1年単位、決算月の3~4か月後で統一する
条件変更契約は、1回の契約で数年分の取決めを行なうのではなく、半年や1年という短い期間での契約を繰り返す形になるのが普通です。
一度に長い期間を与えるのではなく、契約を短く刻んで交渉機会を増やすことで、できるだけ多くの金額を返済させようというのが、銀行の狙いです。
変更期日のたびに返済額の再交渉が必要ですから、3か月~半年という短い期間の契約では、会社の負担が大きくなります。そこで、すべての銀行に対し、「原則1年単位」「返済額の見直しは決算月の3~4か月後」のルールで統一してもらうように交渉します(図表参照)。


[条件変更契約の結び方]



返済の見直し月を決算月の3~4か月後に設定するのは、次のような理由で以後の交渉が行ないやすくなるからです。
 
・経営改善計画の進捗状況を把握するための決算書の完成が決算月の2か月後
・決算月の翌月、翌々月であれば、次年度の計画を用意することができる
銀行の側にも、他の銀行の条件が出そろう、業績分析に要する負担を軽減できる、といったメリットがあります。
業績をモニタリングするため、半年でなければ応じられないという銀行が出てくる場合でも、返済額見直しの基準月はできるだけ決算月の3~4か月後にそろえてもらいましょう。


安田 順(中小企業診断士)