ビジネスわかったランド (経理)
資金繰りと資金管理
リスケを受けた後、追加の融資を受けることは可能ですか?
「全行一律型」では、ほとんど受けられません
ケースによりますが、基本的には難しいと考えたほうがよいでしょう。
リスケには、大きく以下の3類型があります。
(1)信用保証協会や公的金融機関の借換え制度を活用する「公的制度型」
(2)条件変更の対象を特定の銀行、あるいは特定の借入口に絞り込んだ「個別交渉型」
(3)全銀行に同一条件で負担を求める「全行一律型」
(2)条件変更の対象を特定の銀行、あるいは特定の借入口に絞り込んだ「個別交渉型」
(3)全銀行に同一条件で負担を求める「全行一律型」
このうち、(3)の全行一律型は、ノンバンクを除く全銀行にリスケを依頼し、それぞれの借入残高に応じて返済(プロラタ返済)を行なうものです。リスケは全行一律型がもっとも多く、通常、リスケといえばこの方法を指します。
全行一律型のリスケに至った場合、リスケ後に追加融資を受けられることはほとんどありません。すべての銀行の返済条件を変更している状態で、新たに融資を行なうことには、メインバンクも慎重になるからです。
また、全行一律型では、保証協会付き融資もプロパー融資と同じ返済割合でリスケを行ないますが、「借換保証制度」以外のリスケでは、新規の保証が受けられなくなります。再度、保証を受けるには、正常な返済に戻してから半年程度、その返済を続けなければなりません。
このため、全行一律型でリスケした会社は、セーフティネット融資などの公的支援策がどれだけ拡充されても、追加融資は諦めるしかありません。
ただし、きちんとした経営改善計画書(実現可能性の高い抜本的な経営改善計画)が策定されていれば、メインバンクが融資を引き受ける可能性はあります。特に中小企業再生支援協議会が関与したケース(『「中小企業再生支援協議会」を活用するメリットは?』参照)では、再生計画スタート後の金融支援を受けやすくなります。
なお、リスケ後の手形割引は継続してもらえることが少なくありません。ただし、銘柄を選定される、金利が高くなるなど、以前よりも厳しい条件になることが大半です。
手形割引については、平時からできるだけ借入のない信用金庫を使うなどして、継続できる状態にしておくのが理想です。最悪の場合は、ノンバンクの割引の活用も考えられるでしょう。
安田 順(中小企業診断士)
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