ビジネスわかったランド (経理)

原価計算

単純総合原価計算の流れ
仕掛品の原価を計算するのがポイント
 
月末には、完成品と仕掛品が残る
総合原価計算にはさまざまな種類がありますが、ここでは、単純総合原価計算の流れを説明します。「単純総合原価計算」は、1つのラインで1種類の製品を大量に生産している場合に採用する計算方法です。
その生産ラインを想像してみてください。ここでも、洋服をつくっている例で考えてみましょう。ずっと布が流れてきて、絶えずミシンによる縫製・加工作業が続いています。どんどん同じ服が完成してくるわけですが、ずっとラインが動いていては原価計算ができないので、月末時点でラインを止め、どれだけの量の洋服が完成したのかを確認してみましょう。洋服の数を数えれば、完成品の数量がわかります。
一方、生産ラインには、縫いかけの布など、つくりかけのものが残っています。これは、仕掛品ということになります。仕掛品がいくつあるか、そして、その仕掛品の完成度はどれくらいなのかということを確認しておく必要があります。
また、月初の生産ラインには、仕掛品がライン上に残っており、それらのつくりかけのものを完成させてから、新しく投入された材料で生産を行なっていくことになります。
したがって、この生産ラインでは今月、前月の仕掛品を完成させるとともに、新たな材料を投入し、月末には完成品と仕掛品が残っている状態になります。
この流れは、よく以下のようなボックス図で表わします。ボックス図は1つの箱のなかを縦半分に区切り、さらに右半分と左半分のそれぞれを上下に区切って、4つの箱を描きます。左上の箱が月初から生産ラインにあった月初仕掛品、その下が当月に投入された製造費用が入ります。このボックス図の左半分は、生産ラインへのインプットを表わし、右側はアウトプットを示します。右側の上が完成品(製造原価)、下が月末仕掛品になります。計算をする際にもボックス図を描くとわかりやすくなるので、ぜひ自分で描けるようになってください。
 



野口由美子(イージフ社フェロー、中央大学専門職大学院 国際会計研究科 元兼任講師)