ビジネスわかったランド (経理)
売上、売掛金の管理
貸倒れに対する会計処理は
売掛金は債権であり、貸倒れの危険がある。このため、売掛金は貸借対照表上、原則として債権金額により計上し、取立不能のおそれがある場合は、取立不能見込額を控除する。また、貸倒れが発生してしまった場合は、次のような会計処理が必要となる。
<< 貸倒れの会計処理には大別して2つのやり方がある >>
貸倒れに対する会計処理としては、
がある。なお、売掛債権が法律上は存在するが、その全部について事実上回収が不能である場合は、通常、1による処理が行なわれる。
[1] 売掛金を直接減額する方法
売掛金を直接減額する処理を行なうのは、税務上も貸倒れとして認められる場合が一般的である。
この債権が法律上存在する段階で、貸倒れとして認められるのは次のような場合であり、一定の要件のもとで損金経理をする必要がある。
税務上の貸倒れの認定
税法では、売掛債権についてのみ貸倒れ処理ができる2つの特例を設けている。
いずれの場合も会計帳簿上の損失処理が前提である。また処理時には、1円等の備忘価額を残さなければならない。1円等を帳簿に残すのは、法的に売掛債権が消滅しているわけではないので、まだいつか債権の一部でも払ってくれる可能性が残されているとの見解に基づくものである。
貸倒れ処理のための確認事項
貸倒れ処理をスムーズにするためには、次のような事項について確認しておく必要がある。
[2] 貸倒引当金を設定する場合
貸倒引当金の繰入限度額は、「個別評価による繰入限度額」と、「一括評価による繰入限度額」の2つがあり、どちらか一方で限度超過が生じればもう一方に余裕部分があっても限度超過額は税務上損金として処理不可能となる。
(1)個別評価の貸倒引当金の計算
個別評価の貸倒引当金の設定対象となる債権は、次のとおり。
(2)一括評価の貸倒引当金の計算
一括評価の貸倒引当金の繰入限度額は、期末の売掛債権等に一定の繰入率(過去の貸倒れの実績をもとに算定する「貸倒実績率」と、業種別に一律に定められている「法定繰入率」がある)を乗じて計算する。
繰入限度額は、次のいずれか大きい金額である。ただし大法人(資本金の額が1億円超)については、法定繰入率は経過措置を経た後、平成15年度から廃止となった。
一般売掛債権等とは、売掛金、貸付金、その他これらに準ずる金銭債権から、個別評価の対象となるものを除いたものである。
また、実質的に債権とみられないものの金額とは、売掛債権等の相手先に対して、買掛金、借入金、受入保証金等がある場合のその部分の金額をいう。
(※)対象法人
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貸倒れに対する会計処理としては、
- 売掛金を直接減額する方法(売掛債権が法律上も消滅した場合)
- 売掛債権の評価勘定としての貸倒引当金勘定に繰り入れる方法(売掛債権が法律上は存在するが、事実上回収が不能あるいは困難である場合)
[1] 売掛金を直接減額する方法
売掛金を直接減額する処理を行なうのは、税務上も貸倒れとして認められる場合が一般的である。
この債権が法律上存在する段階で、貸倒れとして認められるのは次のような場合であり、一定の要件のもとで損金経理をする必要がある。
- 回収不能な場合:債務者の資産状況、支払能力等からみて全額が回収できないことが明らかな場合(担保がある場合は担保物件を処理した後。また、一部貸倒れ処理は認められない)。
- 一定期間取引停止後弁済がない場合等:売掛債権について次の事実が発生した場合、売掛債権の額から備忘価額(1円等)を差し引いた金額を貸倒れとして損金経理する。 ・継続的に取引を行なっていた債務者につき、取引を停止した後1年以上経過したとき(担保物がある場合を除く) ・同一地域の債務者について有する売掛債権の総額が、その取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合に支払いを督促しても弁済のないとき
税法では、売掛債権についてのみ貸倒れ処理ができる2つの特例を設けている。
- 取引先の経営状況が悪化したため取引を停止したが、先方が支払いに応じないまま1年が経過した場合
- 遠隔地の小口滞留売掛金。つまり、支払いの督促をしても支払わない遠隔地の相手先について、わざわざ出張して集金に行くと費用で足が出てしまう場合
貸倒れ処理のための確認事項
貸倒れ処理をスムーズにするためには、次のような事項について確認しておく必要がある。
- 取引状況(売掛金元帳、請求書、納品書のチェック)
- 回収努力の証明(内容証明による催告書の送付、担当者の報告)
- 手形交換所取引停止の有無の確認
- 債務者の資産状況、支払能力の調査(相手先および調査機関の利用)
- 担保物の確認
貸倒引当金の繰入限度額は、「個別評価による繰入限度額」と、「一括評価による繰入限度額」の2つがあり、どちらか一方で限度超過が生じればもう一方に余裕部分があっても限度超過額は税務上損金として処理不可能となる。
(1)個別評価の貸倒引当金の計算
個別評価の貸倒引当金の設定対象となる債権は、次のとおり。
・長期棚上げがあった場合=弁済猶予された金額で、事実が生じた事業年度終了の日から5年以内に弁済される金額以外の金額
・債権の一部に取立て見込みがなくなった場合=回収見込みのないと認められる金額(債務超過が相当期間〈概ね1年以上 〉継続し、その事業に好転の見通しがない場合等)
・形式基準の場合(破産の申立てや手形取引交換所の取引停止等)=50%相当額
一括評価の貸倒引当金の繰入限度額は、期末の売掛債権等に一定の繰入率(過去の貸倒れの実績をもとに算定する「貸倒実績率」と、業種別に一律に定められている「法定繰入率」がある)を乗じて計算する。
繰入限度額は、次のいずれか大きい金額である。ただし大法人(資本金の額が1億円超)については、法定繰入率は経過措置を経た後、平成15年度から廃止となった。
・一般売掛債権等×貸倒実績率
・(一般売掛債権等-実質的に債権とみられないものの額)×法定繰入率
また、実質的に債権とみられないものの金額とは、売掛債権等の相手先に対して、買掛金、借入金、受入保証金等がある場合のその部分の金額をいう。
経過措置
貸倒引当金の適用法人(※)以外の法人に対しては、平成24年度から3年にわたり経過措置が講じられている。経過措置により、段階的に損金算入限度額が縮減され、平成27年度以降は損金算入が認められなくなる。事業年度開始の日 | 損金算入限度額 |
H24.3.31以前 | 改正前の損金算入限度額(A) |
H24.4.1~H25.3.31 | (A)×3/4 |
H25.4.1~H26.3.31 | (A)×2/4 |
H26.4.1~H27.3.31 | (A)×1/4 |
H27.4.1以降 | ゼロ |
(イ)資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
(注)資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等による完全支配関係がある子法人等を除く
(ロ)公益法人等、協同組合等、人格のない社団等
著者:木村 隆(公認会計士・税理士)
監修:税理士法人メディア・エス
2013年4月末現在の法令等に基づいています。
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