ビジネスわかったランド (経理)
在庫管理
実地棚卸を正確・迅速にする手立ては
目的を明確にして徹底するとともに、スケジュールやルールに従ってきちんと行なうことがポイントとなる。
実地棚卸の重要性
棚卸資産の実際在高について実地で点検し、数量をカウント等することを実地棚卸という。入出庫伝票等から帳簿棚卸を実施していても、最低年に1回は実地棚卸を行ない、帳簿棚卸の不完全性を補う意味でも帳簿記録と照合する必要がある。不一致が発見されれば、その原因の追及を行なうとともに、最終的には実地棚卸在高に修正されなければならない。不一致の原因は、通常、入出庫時の計算ミス等のほか、紛失、盗難、および破損等による減耗などで生じる。このように重要な意味をもつ実地棚卸であるだけに、その作業は正確かつ迅速に進めなければならない。
実地棚卸の目的を明確に
実地棚卸を正確かつ迅速に進めるためには、次のような実地棚卸の目的のどの点により重点を置くかを明確にすることがポイントとなる。
1.正確な棚卸在高を確定させることで、資産としての棚卸品の真実性を確保する。また適正な期間損益計算を目的とする財務会計上、正確な売上原価を把握するための必要不可欠な手段
2.実地棚卸の実施により、ふだん気づかなかった汚れ、破損その他棚卸品の物理的、機能的または経済的陳腐化に気づいたり、会社の購買や発注および購買方法などの非効率な部分を知り、経営改善にも役立てる手段
3.決算に当たり、実地棚卸で判明した陳腐化している棚卸品について値引販売や廃棄処分するなどして、損を実現させることで税金を安くするといった税対策につながる手段
こうした目的を押さえたうえで、次表のような流れで作業を行なうが、作業を正確・迅速に進めるためには、担当者に以下のような作業の意味を徹底しておくことが肝要だ。
日常業務の延長ではない
実地棚卸は、日常業務で実施されている棚卸業務について、改めて数量や現状の有姿を確認することで問題点を把握し、経営の改善に役立たせるといった認識が大切だ。この点、日常業務で行なう数量カウントを主とする習慣的なものとは異なることを理解させる。
決められたルールで行なう
棚卸指示書のルールがすべての担当者に守られなければ、貴重な時間を費やして行なう棚卸の目的は達成されず、中途半端で終わる。とくに、期末実地棚卸の実施時間が深夜や早朝に及ぶことも多く、仕掛品や半製品など工程途中の棚卸については、その傾向が強い。誰もが早く終了したいと願うのは当然で、そのためには担当者のお互いの連携プレーであらかじめ決められたルールを尊重することである。
当日だけが棚卸ではない
棚卸当日の作業が迅速かつ正確に行なわれるかどうかは、事前の準備にかかっている。とりわけ期末時は入出庫が多く、慌ただしいことも多い。倉庫の整理整頓も二の次となり、混乱しがちである。棚卸の以前から徐々に移動している在庫品を所定のラックやヤード等に納め直し、カウントしやすいハイ積みにまとめる。
後ろにあってカウントが困難な在庫品は位置をずらし、チェックを容易にする。品名等の確認誤りを生じないようラベル表示を正面に向ける、売上預かり品や未検収品など棚卸資産に含めないものは1か所にまとめておく、等々の準備作業の段階からすでに現場での棚卸作業がスタートしているのである。
現品を重視する
実地棚卸は、文字どおり在庫品を実地にカウントするものである。継続記録をもたない企業では、棚卸原票の重要性が理解されているが、コンピュータ等で継続記録が行なわれている企業では、実地棚卸に際して、継続記録している置場別の在庫リストを打ち出し、数字をチェックする方法をとることも多い。この場合、実施時間は短縮できても、リストの数字を優先するといったケースも見られ、本末転倒となる。棚卸は、あくまで現品重視である。
著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2013年4月末現在の法令等に基づいています。
実地棚卸の重要性
棚卸資産の実際在高について実地で点検し、数量をカウント等することを実地棚卸という。入出庫伝票等から帳簿棚卸を実施していても、最低年に1回は実地棚卸を行ない、帳簿棚卸の不完全性を補う意味でも帳簿記録と照合する必要がある。不一致が発見されれば、その原因の追及を行なうとともに、最終的には実地棚卸在高に修正されなければならない。不一致の原因は、通常、入出庫時の計算ミス等のほか、紛失、盗難、および破損等による減耗などで生じる。このように重要な意味をもつ実地棚卸であるだけに、その作業は正確かつ迅速に進めなければならない。
実地棚卸の目的を明確に
実地棚卸を正確かつ迅速に進めるためには、次のような実地棚卸の目的のどの点により重点を置くかを明確にすることがポイントとなる。
1.正確な棚卸在高を確定させることで、資産としての棚卸品の真実性を確保する。また適正な期間損益計算を目的とする財務会計上、正確な売上原価を把握するための必要不可欠な手段
2.実地棚卸の実施により、ふだん気づかなかった汚れ、破損その他棚卸品の物理的、機能的または経済的陳腐化に気づいたり、会社の購買や発注および購買方法などの非効率な部分を知り、経営改善にも役立てる手段
3.決算に当たり、実地棚卸で判明した陳腐化している棚卸品について値引販売や廃棄処分するなどして、損を実現させることで税金を安くするといった税対策につながる手段
こうした目的を押さえたうえで、次表のような流れで作業を行なうが、作業を正確・迅速に進めるためには、担当者に以下のような作業の意味を徹底しておくことが肝要だ。
日常業務の延長ではない
実地棚卸は、日常業務で実施されている棚卸業務について、改めて数量や現状の有姿を確認することで問題点を把握し、経営の改善に役立たせるといった認識が大切だ。この点、日常業務で行なう数量カウントを主とする習慣的なものとは異なることを理解させる。
決められたルールで行なう
棚卸指示書のルールがすべての担当者に守られなければ、貴重な時間を費やして行なう棚卸の目的は達成されず、中途半端で終わる。とくに、期末実地棚卸の実施時間が深夜や早朝に及ぶことも多く、仕掛品や半製品など工程途中の棚卸については、その傾向が強い。誰もが早く終了したいと願うのは当然で、そのためには担当者のお互いの連携プレーであらかじめ決められたルールを尊重することである。
当日だけが棚卸ではない
棚卸当日の作業が迅速かつ正確に行なわれるかどうかは、事前の準備にかかっている。とりわけ期末時は入出庫が多く、慌ただしいことも多い。倉庫の整理整頓も二の次となり、混乱しがちである。棚卸の以前から徐々に移動している在庫品を所定のラックやヤード等に納め直し、カウントしやすいハイ積みにまとめる。
後ろにあってカウントが困難な在庫品は位置をずらし、チェックを容易にする。品名等の確認誤りを生じないようラベル表示を正面に向ける、売上預かり品や未検収品など棚卸資産に含めないものは1か所にまとめておく、等々の準備作業の段階からすでに現場での棚卸作業がスタートしているのである。
現品を重視する
実地棚卸は、文字どおり在庫品を実地にカウントするものである。継続記録をもたない企業では、棚卸原票の重要性が理解されているが、コンピュータ等で継続記録が行なわれている企業では、実地棚卸に際して、継続記録している置場別の在庫リストを打ち出し、数字をチェックする方法をとることも多い。この場合、実施時間は短縮できても、リストの数字を優先するといったケースも見られ、本末転倒となる。棚卸は、あくまで現品重視である。
著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2013年4月末現在の法令等に基づいています。
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