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在庫管理

適正在庫の求め方は
 適正在庫がどのくらいなのかは、業界の平均値などを基に設定することができるが、在庫費用も考慮して検討する。

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適正在庫の重要性
製造業における原材料や、卸売・小売業における商品等は、いずれも販売等を予定した流動性の高い重要な資産である。これらは、企業の保有する資産のなかでも重要なウエイトを占め、まさに企業収益獲得の源泉にほかならない。したがって、品切れを生じさせるわけにはいかないが、逆に多くの在庫を抱えればそれだけ資金が固定化し、保管場所の確保等の間接費用を含め資金繰りを圧迫する。そのため、在庫の購入や受入れから販売や払出しに至るまでの流れを効率よくし、ムダな在庫を持たないこと、すなわち適正在庫に保つことが、在庫管理の最も重要なテーマとなる。

適正在庫とは
在庫管理が主として目指すのは、品切れを発生させない程度の在庫水準をいかに保つかという点にある。言い替えれば、適正在庫の把握にほかならないが、在庫は発注→入荷→保管→出荷の各活動のすべてに関わる問題であるために、在庫費用や企業の需要予測をも含めて多角的に検討されなければならない。

業界の平均値を応用する
自社の在庫がどの程度の水準にあるのかを知る手がかりの1つとして、たとえば中小企業庁の公表する財務指標(在庫回転率)と比較する方法がある。ただし、公表データが直近時を示すものでないことや、あくまでも一般的な世間水準と比較したうえでの議論であるため、自社の適正在庫とはズレのあることを認識する必要がある。

目標とする在庫水準を決めるやり方も
より具体的に目標とする在庫水準を決める考え方の1つとして、品切れや在庫切れで営業部門や製造部門の活動に支障をきたさない水準をベースに、目標値を決定する方法がある。
この場合は、通常の取引で販売や消費が予定される量に、万一の追加受注や不良品の発生等が生じても、それらをカバーし得るだけの在庫量を加えたものだが、最低在庫水準に近いものといえるだろう。

在庫費用も在庫のうち
在庫を保有するには、倉庫料、保険料、運搬料、陳腐化および消耗費等の費用を要し、データでは、それらが在庫金額の20~30%になるといわれている。自社倉庫を使う場合でも、管理人件費を要するとともに実質的な金利負担を考慮しなければならない。
したがって、在庫量が適正かどうかを見る場合、これらの諸費用も加味して考える必要がある。取引の多品種少量化に伴い増加しがちな在庫費用だけに、在庫そのものは圧縮できても在庫費用が固定的で単位当りにして割高な負担となれば、適正在庫といえるかどうか疑問である。

著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2013年4月末現在の法令等に基づいています。