ビジネスわかったランド (経理)

仕入、買掛金の管理

仕入・製造原価の算出法は
 原材料や商品、製品を仕入れたときには、それらの購入代価に加えて、様々な費用等がかかっている。購入代価にこうした諸費用等を加えたものが仕入原価となるが、卸売・小売などの販売業者と製造業者ではその内容が次のように異なっている。

<< 販売業の仕入原価 >>

仕入原価を構成するもの
卸売業者や小売業者が商品を仕入れた場合に仕入原価となるのは、実際の購入代価に付随費用(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等)その他購入のために要した費用や、資産を消費し、または販売の用に供するために直接要した費用の額を加算した金額となる。
1.購入代価
送状価額から値引額や割戻(リベート)額を控除した金額が購入代価となる。
なお、割戻額の算定基準が明確にされていないときは、これを控除しない送状価額を購入代価として差支えない。
また現金割引額は送状価額から控除せずに、金融上の取引によるものとして営業外収益で処理する。
2.付随費用
付随費用として加算する項目は、引取運賃、購入手数料、関税等、容易に加算し得る外部経費に限る場合と、引取りに要した項目すべてを含む場合とがある。また、購入事務費や保管費などの内部経費を仕入原価に含めることもある。
購入に要した負債の利子や、棚卸資産を取得し処分するまでの間の利子は、仕入原価に含めないのが一般的である。

仕入原価が確定しないとき
棚卸資産を購入したものの仕入先との価格交渉が事後的になったり、商習慣として暫定的な単価で仕入れておき、一定期間後に確定単価が確定する等の理由で購入代価が確定しない場合は、適正な見積価額で仕入原価を計上する。
なお、その後の事業年度で購入代価が確定したときは、原則として見積価額との差額を確定した事業年度の費用または収益とする。

売上原価の算定法
卸売業等における一事業年度中の売上高に見合う商品の仕入原価(売上原価)の把握は、個々の売上高に対応する仕入原価を個別に積算する方法によらず、期首商品棚卸高に当期中の仕入高を加算したうえ、期末商品棚卸高を控除して求める方法による。


<< 製造業の製造原価 >>

製造業者が自己の製造等のために棚卸資産を取得した場合の取得価額には、製造のために要した原材料費、労務費および経費の額の合計額に、これを消費し、または販売の用に供するために直接要した費用が含まれる。
1.原材料費
期首原材料棚卸高に当期購入高を加算し、そこから期末原材料棚卸高を控除して求める。購入高の算定に当たり値引額や割戻額を控除するのは、仕入原価の場合と同様。
原材料には、主要原材料以外の補助的なものを含む。
2.労務費
製造のために要した賃金、給料、賞与、退職金といった人件費や法定福利費、福利厚生費などが含まれる。
3.経費
1、2以外の原価要素をいい、減価償却費、賃借料、保険料、修繕費、電力料、水道・ガス代、租税公課、通信費、保管料、棚卸減耗費などが含まれる。
なお、以上の原価要素は、一定の製品単位に集計されるべく原価計算の手続きを行なう。
また、経営目的に関連しないものや異常性のある価格の減少等は非原価項目とされる。

製造原価の算定法
製造業では、卸売業等と異なり、売上原価の算定以前に、製品を製造するために要したコスト(製造原価)を把握する必要がある。
一事業年度における製品製造原価は、期首仕掛品棚卸高に当期総製造費用(材料費、労務費および経費の合計額)を加算したうえ、期末仕掛品棚卸高を控除して求める方法による。


著者
渡辺 昌昭(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人メディア・エス
2013年5月末現在の法令等に基づいています。