ビジネスわかったランド (経理)

年次決算

決算の確定とは
定時株主総会など法人の機関決議等に基づく決算を、確定した決算といい、この確定した決算を基礎に法人税法の適用関係を判定し、税額を算出することを確定決算主義という。

確定した決算・確定決算主義
法人税法では確定決算主義が採用されており、災害等や会社法の規定によって決算が確定しないため、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に確定申告を行なうことができない場合には、所定の手続きによって提出期限の延長が認められる。
一方、消費税には確定決算主義が採用されていないため、決算が確定しないことによる期限の延長の特例はない。なお、定時株主総会等の開催日よりも前に提出された法人税の申告書は、確定した決算に基づかないため、提出の効果がないとの見解もあるので、注意を要する。

収益の見積り計上・計上時期
収益に係る債権は、確定していなくても、たとえば引渡しが完了しているなど、債権の原因となる給付が既に完了していると認められる場合には、益金に算入する。たとえば、棚卸資産を引き渡した場合に、事業年度終了の日までに販売代金が確定していないときには、その額を合理的に見積もって益金に算入し、その金額が確定した事業年度でその差額を調整する。
なお、土地および土地の上に存する権利の引渡しで、その日がいつか明らかでない場合には、代金の概ね50%以上を収受するに至った日か、所有権の移転登記の申請の日か、いずれか早い日が引渡しの日とされる。

費用の計上基準(債務確定主義)
法人税法上、販売費・一般管理費等の費用については、償却費を除き、事業年度終了の日までに債務の確定しているものに限られる。債務とは債権者に対して一定の給付をなすべき法的な義務をいう。
事業年度終了の日までに債務が確定しているとは、特別の規定があるものを除き、
  1. 事業年度終了の日までに、その費用に係る債務が成立していること
  2. 事業年度終了の日までに、その債務に基づいて具体的な給付をなすべき原因となる事実が発生していること
  3. 事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること
の要件をすべて満たすことが必要とされる。
なお、売上原価や完成工事原価等の原価は、債務確定主義が要求されておらず、その金額が未確定の場合には、合理的に見積もって損金に計上したうえ、その金額が確定した事業年度でのその差額を調整する。

著者
植田 球一(ファイナンシャルコンサルタント)
監修
税理士法人A.Iブレイン
2013年4月末現在の法令等に基づいています。