ビジネスわかったランド (経理)

利益計画・予算管理

経費予算管理のポイントは
 予算と実績の対比分析がスムーズに行なわれるようなしくみを社内につくることが大切である。またコンピューター化により実績の把握のスピードアップを図るとともに、時期を明確にしておくことも必要。

自主的に立案したという事実が大切
予算立案段階より、一定の利益計画から与えられた条件を基に、各部門で、予算数値を立案させる。
その立案数値と、全体数値のすり合せを重ねる調整作業が大変な業務となるが、基本は自主的に立案したものとの意識を植え付けることである。
そのことで、予算を自らの目標と理解して、その達成に努力し、結果に対して言い訳をしない風土ができあがる。
実現させるためには、手段と動かせる権限を与えることも必要である。しかし権限といえば、すぐに部門の経費が予算の範囲内ならば、自由に使える権限と考えてしまうと困る。

予算と実績の対比分析が基本
活動の実績をつかむ会計制度や原価計算制度が、社内に定着していることもポイントである。
予算の立案・実行での管理組織単位に合わせて、会計的な手法で単位ごとの実績が把握できなければならない。予算をつくってから考えるのでは遅い。

たとえば、経費の管理は、個人別、場所別、仕事別など様々な集計単位がある。全社的な会計制度では、課ランク別まで実績把握するが、係別はやらない等の基準を明示しておくのがよい。
あくまで、予算管理は、予算と実績の対比分析が基本である。

自分でコントロールできる項目を設定
目標となる予算の項目も、販売部門、生産部門など各機能部門ごとに共通した予算項目を設定すべきである。事業部ごとにバラバラでは困る。
そして項目は、部門でコントロールできる項目であること。たとえば、本社費用の配賦費用や、事業部で決められた売上リベートなどが、売上高に連動して実績配賦される項目は、部門長は自分で管理できない。このような項目は、その部門の予算項目としては極力避けるべきである。
自分でコントロールできない項目や金額が多いほど、組織が硬直化しているのである。

報賞制度などの導入も
仕事の成果は、予算管理だけで表わすことはできないが、売上高、コストダウンなどの指標は少なくとも、わかりやすい大きな目標となる。
管理部門などでは、数字化された予算としては経費予算しか持たないことが多いので、業績数値への予算の関わりが少ない。
人事考課、処遇、報賞制度などインセンティブを与える手段も、予算管理の成果に連動して、実施されるべきである。

実績報告資料の提出先・時期を明確に
実績の報告書、提出タイミング、提出先を明確にしておくことも大切である。予算立案が終了すれば、また次の予算立案準備作業に入るような予算立案専門部門にならないように、実績把握と差異分析にも、そのしくみや資料で制度化しておく。
予算と実績の会計的な対比表の作成は、すべて専門的な部門として、企画部ないし経理部に機能をまとめ、そこで業績報告として作成する。事業ラインは、現場での変化と対応策について、業務報告として報告する。報告会では、予算対比と前年比の数字報告会にならないようにしたいものである。



実績把握の時期
売上高の把握の時期が、企業の業績把握制度をみる場合に1つの基準となる。前日の売上高が、前年実績とともに翌日の朝には把握できているというのが優秀であるが、情報システムなしでは考えられない。予算、実績ともにスピードが求められているので、コンピューターの活用により実績把握のスピードアップを図りたい。

著者
近藤 仁(元オムロン株式会社参与)
2013年4月末現在の法令等に基づいています。