ビジネスわかったランド (経理)
利益計画・予算管理
利益計画の策定手順は
経営トップの意向を受けた企画部門がガイドラインをつくり、それに基づいて各部門が利益計画を積み上げていく。
また策定段階で、参画意識を植え付けるため、ヒヤリング制度を導入したり、計画の社内開示を行なう。その後、役員会で審議し、部門間の調整を行なったうえで、個別計画をまとめる。
<< 利益計画立案のポイント >>
利益計画の立案に当たっての実務ポイントは、次のとおりである。
計画の構成の明瞭化
中・長期的な計画と短期的な計画である年度計画の方針が整合されていることが、理解をしやすくするために必要である。
さらには、事業部長、部長、課長、担当者の各組織階層からみてそれぞれの日常業務と、年度計画がどのように関係しているのか、十分に理解できるような社内での説明が必要である。これらは、経理財務部門の役割でもある。
社内報、掲示板、課内連絡会など社内広報を通じて、理解を求めることが、明瞭化につながることになる。
計画の数値化
計画と結果を照合するには、数値が最適である。そのため計画の中味はできるだけ数値化すべきである。経理の計算を基本とする利益計画では、金額で数値化しやすい。
しかし、品質、研究開発、納期などの改善効率を追求することも、年度計画には織り込まれるので、これらの計画達成目標もできるだけ数値化しておくのがよい。
計画の担当、分担
経理財務部門ですべて計画を立案する場合もあるが、企画部門と連携して策定する場合が多い。次のように、策定の分担を決めておく。
売上計画、生産計画などをどの部門が担当するのか、その部門長は誰なのかを確定させるため、会社組織の編成変更、さらには定期的な人事異動は、年度計画の実行時期を考慮して行なう。
実績把握のやりやすさ
計画の項目において、経理財務部門が実績把握できないような数値や項目は、計画目標より除外するように働きかけるべきである。
また、実績把握にかかる所要時間も重要となる。実績把握はその期間終了後の2か月後、などというのでは困ることになる。
成果と評価のわかりやすさ
経理財務部門は人事部門と連携して、業績結果に対する評価統制をルール化しておく。
人事考課での評価基準も明確にしておくべきである。「評価の対象となる項目」「その評価の基準」である。
さらには、結果評価では、数値で客観的に評価する。ただし、数値結果だけで評価を押しつけるのではなく、差異分析を通じて数字に表われない項目や過程も評価に取り込まないと「ヤル気」をなくすことになる。
<< 部門計画の策定方式 >>
まずガイドラインを策定
各部門がバラバラに利益計画を作成し、それを積み上げても、会社全体としてあるべき利益とはならない。部門計画策定の方式として、ボトムアップ方式、トップダウン方式があるが、いずれの方式も、次のようにそれぞれ長所短所があり、一方通行的な計画立案になりがちである。
経営トップの思いを受けて、企画(経理)部門が、各部門での計画立案に当たり、立案方針(ガイドライン)を出し、それに基づいて、各部門が利益計画の項目を積み上げていく方式がよい。
ガイドラインの策定に当たっては経営トップと綿密な検討を重ね、ガイド項目を決める。
ガイド項目の例
1.主要商品の売上伸び率
2.攻めるべき市場や顧客の範囲
3.生産におけるコストダウン率
4.管理費の支出伸び率
5.人員の採用、配分目標
6.設備投資の総額
販売部門、生産部門などの機能部門ごとに、注力すべきガイド項目と内容を、部門計画の策定に当たり、提示する。
ガイド項目の水準を決める方法としては、次のようなものがある。
計画策定の手続きとスケジュール
計画策定の手続きに当たっての重要なポイントは、策定段階で参画意識を植え付けることである。
目標とする利益を実現させるためには、経営トップの認識や思いが社員に伝わり、社員がヤル気をもって実行に取り組むことが前提となる。
ヒヤリング制度の導入
各部門での現況や、競合他社への理解を深めるためにも、現場の声を計画の策定各段階で聞くべきである。
ヒヤリング制度は、計画策定の手続きのなかで、制度として織り込み、相互理解の場となるべきものである。面談制度とも呼ばれる。
これは、計画、統制、調整の基本的な経営計画の機能のうち、調整機能の役割を果たすものである。
計画の社内開示
利益の目標額だけでなく、どのような手段でそれを実現しようとしているのか、全社員へ計画の内容をわかりやすく開示する。ビデオの配付・放映や月例会議などを利用することで、全社員への参画意識を高揚させる。
計画書の様式化
作成する側がやりやすくするために、パソコン等を利用して、計画書のフォーマット化をする。このことが、計画策定手続きのスピードアップにつながる。また、計画立案手続きをフローチャート化して手順をわかりやすくする。
このような制度や方法を用いて全社員の参画意識を植え付ける。
策定の手順
企画戦略部門(または経理部門)は、目標とすべき利益額の水準を、次の手順で策定する。
スケジュール
利益計画は、通常年度計画として決算期に合わせて立案される。そして、3月決算期の会社の場合は、1年間を通じて次のステップを繰り返すことになる。
そのため企画(経理)担当は、2~4月が業務の繁忙期となる。
次のスケジュール例は、繁忙期を中心に記載したものである。この時期以前に様々な準備業務が実際には行なわれている。
たとえば、次のものがそれである。
1.標準原価やコスト引下げ額見積り
2.減価償却計算の見積り
3.賞与給与の昇給予想
4.配賦の本社費の見積り
5.為替や金利の予想
計画策定のフローチャート
具体的な計画策定に当たってのステップは、次の図のとおりである。
これは全社の立案担当部門と各事業部の作成担当部門でのステップである。
ここでの調整とは、ヒヤリング制度などの部門間でのすり合わせ作業である。これは、丁寧にやればやるほど時間を消費することになる。計画立案時間の短縮が立案責任者の頭の痛い問題となっている。
計画立案時間の短縮ポイント
計画立案時間の短縮のためには、次のようなポイントがある。
著者
近藤 仁(元オムロン株式会社参与)
2013年4月末現在の法令等に基づいています
また策定段階で、参画意識を植え付けるため、ヒヤリング制度を導入したり、計画の社内開示を行なう。その後、役員会で審議し、部門間の調整を行なったうえで、個別計画をまとめる。
<< 利益計画立案のポイント >>
利益計画の立案に当たっての実務ポイントは、次のとおりである。
計画の構成の明瞭化
中・長期的な計画と短期的な計画である年度計画の方針が整合されていることが、理解をしやすくするために必要である。
さらには、事業部長、部長、課長、担当者の各組織階層からみてそれぞれの日常業務と、年度計画がどのように関係しているのか、十分に理解できるような社内での説明が必要である。これらは、経理財務部門の役割でもある。
社内報、掲示板、課内連絡会など社内広報を通じて、理解を求めることが、明瞭化につながることになる。
計画の数値化
計画と結果を照合するには、数値が最適である。そのため計画の中味はできるだけ数値化すべきである。経理の計算を基本とする利益計画では、金額で数値化しやすい。
しかし、品質、研究開発、納期などの改善効率を追求することも、年度計画には織り込まれるので、これらの計画達成目標もできるだけ数値化しておくのがよい。
計画の担当、分担
経理財務部門ですべて計画を立案する場合もあるが、企画部門と連携して策定する場合が多い。次のように、策定の分担を決めておく。
売上計画、生産計画などをどの部門が担当するのか、その部門長は誰なのかを確定させるため、会社組織の編成変更、さらには定期的な人事異動は、年度計画の実行時期を考慮して行なう。
実績把握のやりやすさ
計画の項目において、経理財務部門が実績把握できないような数値や項目は、計画目標より除外するように働きかけるべきである。
また、実績把握にかかる所要時間も重要となる。実績把握はその期間終了後の2か月後、などというのでは困ることになる。
成果と評価のわかりやすさ
経理財務部門は人事部門と連携して、業績結果に対する評価統制をルール化しておく。
人事考課での評価基準も明確にしておくべきである。「評価の対象となる項目」「その評価の基準」である。
さらには、結果評価では、数値で客観的に評価する。ただし、数値結果だけで評価を押しつけるのではなく、差異分析を通じて数字に表われない項目や過程も評価に取り込まないと「ヤル気」をなくすことになる。
<< 部門計画の策定方式 >>
まずガイドラインを策定
各部門がバラバラに利益計画を作成し、それを積み上げても、会社全体としてあるべき利益とはならない。部門計画策定の方式として、ボトムアップ方式、トップダウン方式があるが、いずれの方式も、次のようにそれぞれ長所短所があり、一方通行的な計画立案になりがちである。
経営トップの思いを受けて、企画(経理)部門が、各部門での計画立案に当たり、立案方針(ガイドライン)を出し、それに基づいて、各部門が利益計画の項目を積み上げていく方式がよい。
ガイドラインの策定に当たっては経営トップと綿密な検討を重ね、ガイド項目を決める。
ガイド項目の例
1.主要商品の売上伸び率
2.攻めるべき市場や顧客の範囲
3.生産におけるコストダウン率
4.管理費の支出伸び率
5.人員の採用、配分目標
6.設備投資の総額
販売部門、生産部門などの機能部門ごとに、注力すべきガイド項目と内容を、部門計画の策定に当たり、提示する。
ガイド項目の水準を決める方法としては、次のようなものがある。
計画策定の手続きとスケジュール
計画策定の手続きに当たっての重要なポイントは、策定段階で参画意識を植え付けることである。
目標とする利益を実現させるためには、経営トップの認識や思いが社員に伝わり、社員がヤル気をもって実行に取り組むことが前提となる。
ヒヤリング制度の導入
各部門での現況や、競合他社への理解を深めるためにも、現場の声を計画の策定各段階で聞くべきである。
ヒヤリング制度は、計画策定の手続きのなかで、制度として織り込み、相互理解の場となるべきものである。面談制度とも呼ばれる。
これは、計画、統制、調整の基本的な経営計画の機能のうち、調整機能の役割を果たすものである。
計画の社内開示
利益の目標額だけでなく、どのような手段でそれを実現しようとしているのか、全社員へ計画の内容をわかりやすく開示する。ビデオの配付・放映や月例会議などを利用することで、全社員への参画意識を高揚させる。
計画書の様式化
作成する側がやりやすくするために、パソコン等を利用して、計画書のフォーマット化をする。このことが、計画策定手続きのスピードアップにつながる。また、計画立案手続きをフローチャート化して手順をわかりやすくする。
このような制度や方法を用いて全社員の参画意識を植え付ける。
策定の手順
企画戦略部門(または経理部門)は、目標とすべき利益額の水準を、次の手順で策定する。
スケジュール
利益計画は、通常年度計画として決算期に合わせて立案される。そして、3月決算期の会社の場合は、1年間を通じて次のステップを繰り返すことになる。
そのため企画(経理)担当は、2~4月が業務の繁忙期となる。
次のスケジュール例は、繁忙期を中心に記載したものである。この時期以前に様々な準備業務が実際には行なわれている。
たとえば、次のものがそれである。
1.標準原価やコスト引下げ額見積り
2.減価償却計算の見積り
3.賞与給与の昇給予想
4.配賦の本社費の見積り
5.為替や金利の予想
計画策定のフローチャート
具体的な計画策定に当たってのステップは、次の図のとおりである。
これは全社の立案担当部門と各事業部の作成担当部門でのステップである。
ここでの調整とは、ヒヤリング制度などの部門間でのすり合わせ作業である。これは、丁寧にやればやるほど時間を消費することになる。計画立案時間の短縮が立案責任者の頭の痛い問題となっている。
計画立案時間の短縮ポイント
計画立案時間の短縮のためには、次のようなポイントがある。
著者
近藤 仁(元オムロン株式会社参与)
2013年4月末現在の法令等に基づいています
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