ビジネスわかったランド (経理)

本支店、工場の経理

支店・営業所の商品・諸経費等の管理ポイントは
 商品管理については、入出庫のつど商品在庫台帳に記入し、常に現在残を把握できるようにし、実地棚卸を毎月行なって帳簿数量の確認を絶やさないようにする。諸経費については、経費科目処理マニュアルによって支払いの妥当性のチェックをし、月割予算額の範囲内に収まるよう管理する。

商品管理のポイント
1.商品在庫は、顧客に迷惑がかからない最低限の在庫を保有するような管理をすることが重要である。そのためには、商品在庫台帳に入出庫のつど記帳するようにし、常に現在残が把握できるようにしておく。
また、発注点を下回ったときに速やかに対応できるような体制をつくっておく。
2.毎月実地棚卸を行ない、現物数量を実際に数え、帳簿数量が正しいか否かを確認する。
しかし、実際に在庫管理をしている人のみで行なうと、どうしてもルーズになりがちである。そこで、支店内で定期的に別の担当者が改めてチェックすることも必要である。
3.現物数量と帳簿数量が不一致のときは、原因の追及を行なう必要がある。
原因不明のときは、上司の認可のうえ現物数量に合わせて帳簿を修正する。
4.支店のように要員が少ない中では、効率的に在庫確認の棚卸を運営することも心がける。この場合、「循環棚卸」の実施が効果的である。在庫数が多くなると、いっせいに月末に行なうことは、月末での負荷の集中化を伴うので、棚単位であらかじめ「棚卸時期」を分散して行なうと、業務の平準化ができる。
5.商品の中には、破損などで使い物にならない不良品や新製品の発売による旧型商品で1年以上も動きのない滞留在庫が出ることがある。
不良品については、所定の決裁規程に基づき廃棄処分をする。
また、滞留在庫については、即廃棄できない場合も一般在庫と区分して引続き管理する。

固定資産の管理ポイント
1.固定資産管理の基本ルール
a.責任権限規程で、支店での決裁可能内容と額を決め、運用する。

b.科目判断・耐用年数の判断・リースの導入の考え方などを決めておき、平易に処理ができるようにしておく。
c.年度ごとに予算を設定し、予算内で運用するように心がける。予算外のものについては、責任権限規程などで例外規定を設け、厳格に運用する。
2.支店・営業所での現物管理の仕方
a.現物を特定する固定資産管理票(管理ナンバーなどを記載)を貼り付ける。

b.定期的に固定資産台帳を基に現物を確認する。その際、現物の有無だけでなく使用状況も確認し、活用されていない場合は、他支店への転用や所定の決裁規程に基づき廃棄手続きを行なう。

諸経費の管理ポイント
次の観点から取り組む。
1.支払いの妥当性のチェック
本社で経費科目処理マニュアルを用意し、科目判断の考え方・税務面での注意事項を明確にし、支店・営業所ではこのマニュアルに基づき平易に経理処理ができるようにしておく。
2.経費予算管理
a.年度単位で科目別予算を策定し、月割予算額で毎月管理を行ない、その範囲内に実績経費額がおさまるようにフォローする。オーバーしたときは、原因を把握し、必要な対策を支店内に周知徹底するとともに、「予算・実績報告書」を作成し、差異内容・対策を本社に報告する。
b.経費が予算をオーバーしていないときでも、売上未達などで利益が予算に達しない場合は、経費の削減策を作成し利益予算の達成を図る。
3.効率的な経費処理
a.「交際費」や「旅費交通費」など日常的に発生する経費の処理に関しては、「接待許可書(仮払い・精算書兼用)」「外出および出張命令書(仮払い・精算書兼用)」などの帳票を用意して、申請(命令)から認可・仮払い・精算の一連の事務手続きが容易に行なわれるようにしておく。
b.仮払いは旅費規程などに定められた範囲や交際費などに限定運用し、いたずらに多用しないようにする。また、仮払いについては速やかに精算が行なわれるように指導する。
c.本社との役割分担に関しては、「広告宣伝費」や「販売手数料」などのように、会社全体で処理を考えたほうが効果が大きい内容のものは、支店別に処理をしないで本社一括で対応する。

著者
近藤 仁(元オムロン株式会社参与)
2013年4月末現在の法令等に基づいています。