ビジネスわかったランド (経理)

現金、手形等の管理

現金と帳簿の残高が合わないときの処理は
 現金出納閉鎖後に、現金の手元在高と現金出納帳残高を照合した結果、差異が生じる場合がある。その際、まず原因の究明と対策を講じる必要があるが、原因が直ちに解明できない場合には、一時的に現金手元在高に帳簿残高を合わせるために、「現金過不足」という勘定科目を用いて処理する。

過不足が生じた原因を究明する
帳簿と手元在高に差異が生じた場合は、速やかに上席者に報告し、上席者の承認に基づいて、次のような手順で適切な処理をする。
1.金銭出納帳と入出金伝票やその他の帳簿(得意先元帳や仕入先元帳等)との突合せを行ない、記帳漏れや二重記帳がないか調べる
2.入出金伝票と領収書等の原始証憑を突き合わせ、起票漏れがないか調べる
3.原始証憑を伴わない入出金がないか調べる
こうすれば、会計事実の発生から金銭出納帳の記帳までの流れのなかに、差異の原因を見つけることができよう。

過不足発生の解決策
なお、差異金額が多額の場合は、次の点にも注意を配って根本的な原因分析を行ない、解決を図る必要がある。
1.飲食業・小売業等でレジ現金のある場合は、レジ入力そのものには内部牽制が働かないため、毎日適度な回数の現金実査を行なう
2.経理スタッフが少人数の場合は、内部牽制の有効な役割分担が機能しないので、上席者による抜打検査等を行なう
3.一時仮払いや前貸しが頻繁にあり、かつ毎日現金と帳簿の照合が行なわれていない場合は、一時仮払い等のルールや運用方法および現金実査方法の見直しを行なう

現金過不足があった場合の会計処理
現金過不足が生じた場合の会計処理は、次のとおり。
1.現金手元在高が帳簿残高よりも多い場合
(借)現金 ×××  (貸)現金過不足 ×××
2.現金手元在高が帳簿残高よりも少ない場合
(借)現金過不足 ×××  (貸)現金 ×××
現金過不足の原因が判明した場合には、現金過不足勘定を本来の勘定に振り替える。たとえば、現金の出金の記帳漏れが原因の場合、それが経費や買掛金の決済の計上漏れであれば当該勘定科目に振り替える。逆に、入金の記帳漏れの場合には、売上や売掛金に振り替える。
なお、期末になっても原因が判明しない場合は、雑損失または雑収入勘定に振替処理する。

著者
樫本尚彦(公認会計士)
2012年6月末現在の法令等に基づいています。