ビジネスわかったランド (経理)

現金、手形等の管理

先日付小切手はなぜ危ないか
 小切手の振出日を、実際に振り出した日よりも先の日付にして振り出されたものを「先日付小切手」という。こうした小切手は、実務上も多用されているが、振出人の経済状態に疑義のある場合もあるので、取扱いには注意を要する。

先日付小切手が振り出される背景
通常の小切手は、実際にその小切手を振り出した日を振出日として振り出されるが、実際の振出日ではなく将来のある日付を振出日として振り出された小切手を「先日付小切手」という。
たとえば、小切手を振り出すとき、小切手代金を支払うべき銀行の預金口座の残高が不足し、支払呈示期間内にも十分な残高にならないことが予測できる場合に、そのままの日付で小切手を振り出したのでは不渡りとなってしまう。
そこで、支払時期に猶予をもたせ、銀行の口座残高が小切手の支払いに間に合う時期の日付にしようとして振り出されることが多い。

先日付小切手を受け取るとき
小切手の受取時には、常に振出人の資金力に注意を払うことは当然であるが、先日付小切手は上記のような背景から振り出されることが多く、振出人の資金力に疑義があり、資金繰りなども厳しいことが予想されるだけに危険性が高く、原則として受け取るべきではない。
記載された振出日以前でも支払呈示はできるが、不渡りとなる可能性も否定できず、振出人の支払能力を十分に見極めて対応することが求められる。

先日付小切手を振り出すとき
一方、自社が先日付小切手を振り出すと、取引先に上記のような疑義をもたれることとなる。さらには、記載した振出日以前に銀行に支払呈示がなされたら銀行は支払わなければならないので、その際に預金口座に資金不足などがあれば不渡りとなってしまい、社会的信用を失うなど、大きな危険を伴う。

著者
樫本尚彦(東京北斗監査法人・公認会計士)
2012年6月末現在の法令等に基づいています。