ビジネスわかったランド (経理)
現金、手形等の管理
小切手を受け取ったときの注意点は
小切手は、現金の代用物として広く利用されている短期決済の支払手段である。現金の代用物として使われるものであるだけに、その取扱いは慎重に行なわれなければならない。受け取った小切手の現物管理と事故対策については、十分な小切手法の知識と内部牽制組織の確立が必要とされる。
<< 小切手受取時のチェックポイント >>
小切手を受け取ったときには、次のような点に留意してチェックするようにする。
小切手要件を満たしているか
振出日が白地の小切手でも、銀行実務上は支払いがなされる。しかし、振出人の預金不足等の理由で銀行から支払拒絶された場合は、振出人(または裏書人)は小切手金の支払請求権(遡求権)を確保できなくなる。
そこで、小切手を受け取った際は、小切手要件を満たしているか否かを十分にチェックしたうえで、白地の振出日を補充する必要がある。
用心としての線引
小切手の線引については、線引なしから一般線引へ、一般線引から特定線引への変更は受取人側でもなし得る。
したがって、線引なしの小切手を受け取った場合は、線引をしておけば、紛失したときでも身元のわからない者に小切手控で支払われることがなく、安全である。必要があれば、そのような配慮も大切であろう。
支払人への呈示または取立依頼は期間内に
支払呈示期間は振出日以後10日以内であるから、銀行休業日や、自己の取引銀行に取立依頼する場合は手形交換所を通じた取立てに要する日数に注意し、できるだけ速やかに支払人への呈示または取立依頼をしなければならない。
なお、支払呈示期間を過ぎても、それが多少の日数でその他の問題がなければ、銀行の裁量で支払いはされるが、振出人の預金不足等の理由で支払拒絶されたときは、振出日白地の場合と同様、振出人(または裏書人)は小切手金の支払請求権を確保できなくなる。
内部牽制等も必要
1.小切手の受取りは、集金による場合や郵送による場合があるが、いずれの場合も、その取扱いには十分な内部牽制が必要である。
小切手が線引であったり、要件を充足していれば、集金担当者や郵便物の開封担当者等による不正の余地は少ない。
したがって、経理担当者としては、集金に関する社内規程等の運用状況には十分注意を払い、郵便物の開封担当者には郵便物受渡簿の作成を義務づけるなどの措置をとる。
2.次に、小切手が経理担当者まで到達したら、日付、小切手番号、相手先、金額等の情報を速やかに管理台帳に記入し、支払呈示に備える。
これは、単に会計処理の補助資料としての役割だけでなく、不渡り等の事態が起きた場合に即座に措置が講じられるようにするためにも重要な事項である。
3.会計処理については、他人振出しの未取立小切手が現金の範囲に含まれることから、現金の受入れとして処理することも可能であるが、通常、決済までの期間が短いため、当座預金の増加取引として処理する。
ただし、先日付小切手については、受取手形勘定で処理する実務が一般的である。
<< 小切手事故を避ける >>
受取人が行なう事故予防と現物管理のポイント
1.振出人(裏書人)から受け取った小切手は、基本的には現金と同様の現物管理をする。つまり、紛失、盗難、流用等の事故防止のためには、十分な内部牽制が機能するようにしなければならない。
また、集金による場合には、金額によっては集金ルート上の付保も必要であろう。
2.常に振出人の資金力に注意を払うことは当然であるが、先日付小切手については、振出人の資金力に疑義があるため危険性が高く、原則として受け取るべきではない。
3.取引開始時等、支払先の信用が不明の場合は、預金小切手にしてもらうことが有効である。預金小切手は、振出人が銀行であり安全だからである。
不渡事由とその対策
手形と同様、小切手も支払人である金融機関により支払拒絶される場合があり、そのことを「不渡り」というが、その事由には次の3種類がある。これらの不渡事由のうち何号に該当するかにより対策が異なるが、いずれも不渡発生後の処理は煩雑な場合が多く、できる限り厳密な現物管理を行なう等の予防に努めなければならない。
不渡事由と、それぞれの対策は下表のようなものである。
小切手訴訟制度の利用
不渡りが発生した場合、振出人や裏書人に対して小切手金の支払いを請求しても支払いが受けられないときは、小切手訴訟制度を利用する。時効完成前に提起し、必要事項を明記した訴状を裁判所に提出して行なう。
著者
樫本尚彦(東京北斗監査法人・公認会計士)
2012年6月末現在の法令等に基づいています。
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小切手を受け取ったときには、次のような点に留意してチェックするようにする。
小切手要件を満たしているか
振出日が白地の小切手でも、銀行実務上は支払いがなされる。しかし、振出人の預金不足等の理由で銀行から支払拒絶された場合は、振出人(または裏書人)は小切手金の支払請求権(遡求権)を確保できなくなる。
そこで、小切手を受け取った際は、小切手要件を満たしているか否かを十分にチェックしたうえで、白地の振出日を補充する必要がある。
用心としての線引
小切手の線引については、線引なしから一般線引へ、一般線引から特定線引への変更は受取人側でもなし得る。
したがって、線引なしの小切手を受け取った場合は、線引をしておけば、紛失したときでも身元のわからない者に小切手控で支払われることがなく、安全である。必要があれば、そのような配慮も大切であろう。
支払人への呈示または取立依頼は期間内に
支払呈示期間は振出日以後10日以内であるから、銀行休業日や、自己の取引銀行に取立依頼する場合は手形交換所を通じた取立てに要する日数に注意し、できるだけ速やかに支払人への呈示または取立依頼をしなければならない。
なお、支払呈示期間を過ぎても、それが多少の日数でその他の問題がなければ、銀行の裁量で支払いはされるが、振出人の預金不足等の理由で支払拒絶されたときは、振出日白地の場合と同様、振出人(または裏書人)は小切手金の支払請求権を確保できなくなる。
内部牽制等も必要
1.小切手の受取りは、集金による場合や郵送による場合があるが、いずれの場合も、その取扱いには十分な内部牽制が必要である。
小切手が線引であったり、要件を充足していれば、集金担当者や郵便物の開封担当者等による不正の余地は少ない。
したがって、経理担当者としては、集金に関する社内規程等の運用状況には十分注意を払い、郵便物の開封担当者には郵便物受渡簿の作成を義務づけるなどの措置をとる。
2.次に、小切手が経理担当者まで到達したら、日付、小切手番号、相手先、金額等の情報を速やかに管理台帳に記入し、支払呈示に備える。
これは、単に会計処理の補助資料としての役割だけでなく、不渡り等の事態が起きた場合に即座に措置が講じられるようにするためにも重要な事項である。
3.会計処理については、他人振出しの未取立小切手が現金の範囲に含まれることから、現金の受入れとして処理することも可能であるが、通常、決済までの期間が短いため、当座預金の増加取引として処理する。
ただし、先日付小切手については、受取手形勘定で処理する実務が一般的である。
<< 小切手事故を避ける >>
受取人が行なう事故予防と現物管理のポイント
1.振出人(裏書人)から受け取った小切手は、基本的には現金と同様の現物管理をする。つまり、紛失、盗難、流用等の事故防止のためには、十分な内部牽制が機能するようにしなければならない。
また、集金による場合には、金額によっては集金ルート上の付保も必要であろう。
2.常に振出人の資金力に注意を払うことは当然であるが、先日付小切手については、振出人の資金力に疑義があるため危険性が高く、原則として受け取るべきではない。
3.取引開始時等、支払先の信用が不明の場合は、預金小切手にしてもらうことが有効である。預金小切手は、振出人が銀行であり安全だからである。
不渡事由とその対策
手形と同様、小切手も支払人である金融機関により支払拒絶される場合があり、そのことを「不渡り」というが、その事由には次の3種類がある。これらの不渡事由のうち何号に該当するかにより対策が異なるが、いずれも不渡発生後の処理は煩雑な場合が多く、できる限り厳密な現物管理を行なう等の予防に努めなければならない。
不渡事由と、それぞれの対策は下表のようなものである。
小切手訴訟制度の利用
不渡りが発生した場合、振出人や裏書人に対して小切手金の支払いを請求しても支払いが受けられないときは、小切手訴訟制度を利用する。時効完成前に提起し、必要事項を明記した訴状を裁判所に提出して行なう。
著者
樫本尚彦(東京北斗監査法人・公認会計士)
2012年6月末現在の法令等に基づいています。
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